25年前、ワールドワイドウェブ(WWW)がデスクトップPCで利用できるようになり、ノートPC、スマートフォン、タブレット、テレビがこれに続いた。近いうちに自動車もこの流れに加わりそうだ。
World Wide Web Consortium(W3C)は米国時間2月3日、自動車業界にウェブやウェブアプリをもたらすための標準の策定を目的に、Automotive Working Groupを設立したと発表した。つまり、例えば、車載コンピュータやBluetooth接続されたスマートフォンで稼働するウェブベースのアプリが、車の速度を確認したり、エアコンの温度を変更できるようになる可能性がある。
Automotive Working Groupの設立は、自動車ビジネスとコンピューティングビジネスにまつわる新しい業界の現実を反映している。コンピューティングベンダーは、人々が週に数時間を費やす新しい分野に進出しようと意欲を燃やしており、自動車メーカーはエレクトロニクスの知能を製品に取り入れようと懸命だ。
コンピューティング技術の自動車への導入が進むことは必然的であるが、その経緯は必然ではない。ウェブは、候補の1つにすぎない。
ウェブは広範囲に普及し、情報共有の基盤からインタラクティブなプログラムの基盤としても成長している。このように広く定着していることは有用だ。例えば、自動車メーカーが、ブラウザを搭載するあらゆるスマートフォンで操作できる自動車制御アプリをリリースする可能性もある。
しかし、ウェブプログラミングは、競争上の大きな脅威にさらされている。近年では、モバイルOS(主にAppleの「iOS」とGoogleの「Android」)が企業にとって、Google傘下のNestが提供するサーモスタットのようなデバイスの制御アプリを作成するための強力な手段となっている。そして、コンピューティングシステムを車に組み込むにあたっては、自動車メーカーがOpen Automotive Allianceを通じてAndroidを利用できるほか、Appleの顧客がAppleの「CarPlay」を使ってすべてコントロールするようにできる。
それでも、ブラウザベースのインターフェースは柔軟に対応できる。ウェブアプリを提供すれば、「Windows Phone」デバイスや「Firefox OS」を搭載する端末を使っているドライバーにも対応できる。ウェブは、それほど急速なペースで進化しておらず、それほど洗練されていないかもしれないが、大抵の場合、きちんと機能を果たしてくれる。
W3Cは近年、ウェブの新しい利用分野を開拓し、従来のコンピューティング企業を越えて会員層を広げることに熱心に取り組んでいる。今回のAutomotive Working Groupの設立もその一環だ。これは、2年前に立ち上げられた初期の事業団体の取り組みをより公式に継続するもので、Ford、Continental、Porsche、Volkswagen、ヒュンダイ、General Motors、Visteon、そして日本自動車研究所を含む企業や組織が参加している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス