大企業×スタートアップの協業が生み出すものとは--ドコモ、MS、伊藤園の見方 - (page 3)

大企業とスタートアップがシナジーを生み出すためには

 3人がそれぞれスタートアップとの関わりについて紹介したところで、話題は「大企業からスタートアップ」というテーマに。

 「スタートアップだからできること、得意なことは?」という別井からの質問に対して、井上氏は「世の中で課題に気付き、それを解決するアイデアをスピーディに生み出せるのが強みではないか」と説明。その上で、大企業の強みについてビジネスの成長戦略を考えたり、資金や技術などの資産を活用したりできる点を挙げ、「大企業は可能性のあるアイデアに対してリスクをとってもチャレンジしていくべきだ」と大企業が積極的にスタートアップを支援していく必要性を語った。これについてはZook氏も「スタートアップと一から新たな可能性を生み出していかなければ、Microsoftも市場を生き残れない」と賛同した。


会場の様子

 これに対して角野氏は、飲料市場とスタートアップの現状について「伊藤園は飲料市場で歴史のある大企業だが、世界では飲料の領域でも次々とスタートアップが新しいアイデアを生み出している。競合企業のことばかりを考えていると、スタートアップが出した製品が突然市場を席巻するかもしれない。スタートアップの動向には積極的にアンテナを張って、上手に付き合っていくべき存在だ」と語り、業界に関係なく世の中を変えようという熱意のあるスタートアップが次々誕生していることを説明した。

 また、「スタートアップを支援する上で大企業が留意しなければならないことは」という質問について、井上氏はスタートアップに寄り添うビジネスプロデューサーの立場として「最近気を付けていることは、腹を括らなければならないということ。自分の責任でコミットメントをすることで大企業とスタートアップの間にあるギャップを埋め、大企業のリソースを円滑にスタートアップに提供できるのではないか。両社のスピードがずれると何も生み出せなくなってしまう」とコメント。スピーディにアイデアを形にするためには大企業とスタートアップとの橋渡しになる存在が重要な役割を果たすと語り、Zook氏もこれに同調した。

 そして角野氏は自身がさまざまなスタートアップと交流した経験をもとに「成功したベンチャーの経営者に聞くと、大企業とスタートアップの協業で重要なのは、大企業がコミットしてくれること。そして、大企業が門戸を開いてスタートアップとコミュニケーションを取ってくれること。お互いに理解を深める場を作っていくことが重要ではないか。大企業の社内の人たちがスタートアップのアイデアの面白さに触れて刺激されることが重要だ」と語り、伊藤園の社内でも今後さらにスタートアップとのコラボレーションに理解を広めたい考えを示した。

 最後に、「今後どういうスタートアップ、アントレプレナーの登場を期待したいか」という問いについて、井上氏が「世の中の課題解決に必要な“情熱”、“アイデア”、“ビッグピクチャ”を持っていることが重要。アイデアがあれば、実現するための方法はいくらでもある」と語ると、Zook氏は「『アメリカでは何が流行しているの?』はもう気にしなくていい。日本は家電などの領域ですでにイノベーションを生み出し世界を変えてきたという“足跡”がある。世間に背を向けるくらいの気持ちですごいものを作ってやろうという情熱をもって臨んでほしい」とコメント。また角野氏も「情熱を持ち、自分の中にストーリーをもっていることが重要だ。そして、日本人には自分の考えやアイデアを表現し伝える力をもっと磨いてほしい」とエールを送った。

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