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形を変えても記憶と魂を残すのが重要--擬人化プロジェクト「セガ・ハード・ガールズ」 - (page 2)

佐藤和也 (編集部)2014年12月28日 09時00分
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キャラクターや世界観のイメージを共有しやすい“歌”を重視したキャスティング

 キャラクターのボイスについてもサムドラに登場する兼ね合いから、主要3キャラを中心に早い段階からキャスティング。「ドリームキャスト役のM・A・Oさんの収録を聞いたときは、この方以外に考えられないと確信しました。イラストと設定だけだったのが、声優の力を借りることによってキャラクターが膨らみました。アニメのシナリオでも収録のときの印象をベースに、アイデア出しのときでも言いそうな言葉などが出てきたので、やはり声は重要だと思いました」(福原氏)

  • テーマソングCD「Blooming!! /若い力 -SEGA HARD GIRLS MIX-」

 キャスティングについては中山氏が担当。サクラ大戦に関わってきた経験もあってか“歌”を重視したという。それは単にキャラクターソングの展開を視野に入れているだけではなく、楽曲によってキャラクターや世界観のイメージを共有しやすいところにあると説明する。それもあってか他コンテンツなどでも歌を歌えている人を据えていったという。現在では単にキャラクターを作ったりアニメ放送するだけにとどまらず、複合的な展開をしなければ存在を知ってもらうことも難しい側面もあるとして、キャスト陣によるリアルイベントも想定したキャスティングにしたという。

 主要3キャラのキャストについては「M・A・Oさんは高い声が出せるものの、キンキンせずに1枚障子を挟んだ感じで聞こえます。嫌悪感が出にくく、芯のある雰囲気を出せる声の持ち主ですね。メガドライブ役の井澤詩織さんは耳に残る声で動物キャラなどもよく演じていますが、メガドライブのようなキャラはあまり無い役柄とのことでしたけど、アニメ調が強い声と普段の声の、その間のいいところでしゃべると知的な女性という雰囲気の演技が出来るんです。それがメガドライブにあってました。セガサターン役の高橋未奈美さんは、“王道”が付くようなヒロインボイスの持ち主で、ツッコミ役でもいやみにならないトーンが出せる方です」(中山氏)

とにかくセガ好きが集まってやりたいことを盛り込んだアニメ「His☆Coool! セハガール」

 アニメ化については、「gdgd妖精s」を手がけたことでも知られる菅原そうた氏によるMMDのアニメをと、アニメ制作会社のトムス・エンタテインメントから持ち込まれたのがきっかけ。菅原氏が監督・シリーズ構成・脚本を担当。また「ゲームセンターCX」などに携わった岐部昌幸氏も脚本に参加。とにかくセガ好きなスタッフが集まったという。お互いにやりたいことを言い合い、それらをどんどん盛り込んでいったと両氏とも振り返る。

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 「スタッフの持ち味がいい意味でとがって発揮されてます。会議をしていてもセガハード好きという共通項がありますから、いい感じで会議が進んでいるようで、実は好きなことを語り合っているだけだったということもよくありました。普通のシナリオ会議とは会話の質が違って、友人同士が話しているような感覚でした」(中山氏)。作中では、サクラ大戦から真宮寺さくらやスペースチャンネル5のうららが登場し、セリフも新録だったことが話題となったが、そのセリフも当初より増えていった。このあたりもそういったやりたいことの意向をくみ取り、とりまとめた結果という。もっとも物語は単にわいわいとにぎやかなものにするだけではなく、終盤の展開では福原氏がシナリオチェックをしていて涙を流してしまうようなものになっていたとしている。

 アニメの“動き”でもさまざまなところでこだわりを取り入れた。たとえばドリームキャストはアニメの登場時にいつもつまずくが、これは中山氏いわく「ドリームキャストはスタートダッシュが苦手でという設定があって……」という部分を反映している。またエンディングではセガの社歌をリミックスした「若い力 -SEGA HARD GIRLS MIX-」にあわせてキャラクターがダンスをしているが、中山氏の部署のスタッフ案で「ニュールーマニア」のハロハロナリヤンス音頭や「スペースチャンネル5」のうららウォーク、「サクラ大戦」のゲキテイ(檄!帝国華撃団)といった、代表的なゲームの踊りを織り交ぜた振り付けとなっている。

 セリフは、事前に音声を収録してから映像制作を行うプレスコで収録したため、キャラクター作りは難しかったように見えたと中山氏は振り返った。「当たり前といえばそうなのですが、キャストのみなさんはセガハードを触ったことがない、昔のゲームも知らないといった状態で。実際にセガハードを見せると『私、これなんだ』と言っていたのは印象的でしたし、ゲームについても映像を見せてこちらが懐かしみながら説明するのですが、ぽかーんとしている感じでした(笑)。ただスペースチャンネル5は、うららがかわいいとか遊んでみたいと反応がよかったです。ドリームキャスト時代のゲームはさまざまなチャレンジをしていましたし、先端を行くゲームが多かった。この反応を見て改めて感じたところです」(中山氏)

「センター先生によるセンター試験をやらせたい」--クリエイター・中裕司氏起用の意図

 アニメには、3人の先生となる「センター先生」というキャラクターも登場する。その声には、かつてセガに在籍しソニックシリーズの生みの親としても知られるクリエイターで、現在はプロペ代表取締役社長を務める中裕司氏が担当した。当初はアソビン教授という説明書などで描かれていたキャラクターを先生の立ち位置と考えていたが、中山氏がセンター先生の案を主張したという。「最初はあまり納得しなかったのですが『センター先生によるセンター試験をやらせたい』という意見で即OKしました(笑)」(福原氏)

  • センター先生(声:中裕司)

 中山氏としては、セガハードのアニメなら、それをけん引したクリエイターに代表者として登場してもらいたいという意図があった。「セガに在籍していた当時、中さんは納得しないと絶対に動かないという強いこだわりをもったイメージがありました。そんななかで4時間ぐらい雑談を交えながら説明と打診をしたところ、前のめりでやりたいと快諾していただいて。もちろん声優としては素人ですからセリフを少なめにしたり声を加工しましたが、とても意欲は強かったです。また監督も中さんをのせるのがうまくセリフも増えていって、いい感じのキャラクターになりました。最終回までシークレットにしていましたけど、ニコニコチャンネルで配信している動画では『センター先生は、一体何裕司なんだ』というコメントがよく付いてました(笑)。知ってる方にはバレバレでしたけど、楽しんでもらえる一要素になりました」(中山氏)

 15分間のアニメというのも、現代の視聴環境にはちょうどよかったと両氏は振り返る。さらにテーマとなったゲームタイトルをやり直すきっかけやダウンロードで販売されているアーカイブスの購入のきっかけにもつながったところもあったという。アニメ自体は決してゲームの販促目的ではないものの、結果的にはフックになったとしている。何より親子で見るというような幅広い層に楽しんでもらえたことに意義があったという。「意外と親が小さいお子さんにアニメを見せて笑っている光景があるという話も聞きました。もうハードが手に入らないものも多いですが、誰かの記憶には残したいですし、次の世代に受け継ぐためのいいハブになっていると思います」(中山氏)

形は変わっても記憶に残して伝えることが重要--擬人化展開の意義

 アニメ化こそ想定よりも早かったが、描いていたプロジェクト展開は順調に進めている状態だと中山氏は説明。アニメ放送は一区切りするが、Blu-rayの発売や記念イベントの開催が控えており、さらにコミックスやドラマCDなど、まだまだ展開は続いていく。

 福原氏は「サムドラでキャラクターを作り上げたときには、アニメは想像ができなかった。僕の手から離れてひとり立ちしている感覚はありますが、またユーザーのみなさんと楽しい時間を共有することができれば」と語る。

 中山氏は擬人化展開の意義について、セガの歴史においてゲームハードは詰め込まれた技術や培われたクリエイティブ、そして並々ならぬ愛着が詰め込まれたひとつの結晶であり、今の時代にあった形で魂を残していくことだと語った。

 「現在はゲームハード事業を行ってはいませんが、キャラクターを通してセガハードの歴史に興味を持ってくれたり、違う形で愛でる対象になればいいと。形は変わっても記憶に残して伝えていくことが重要だと思います。もちろんアニメ2期はやりたいですし、ゲーム会社なのでゲーム化も目指したいですが、必ずしも彼女たちだけが登場するゲームを最終目的とは思ってないです。むしろ擬人化をきっかけとしてキャラクターとしての広がりを出したいですし、多くの方に愛されるキャラクターになってほしいと。他社のゲームやコンテンツに登場するのも問題ないです。むしろ出していきたい。セガハードのキャラクターでゲーム業界を席巻していくのが願望ですね」(中山氏)

セガ・ハード・ガールズ公式HP:http://shg.sega.jp/
公式twitter:アソビン教授(セガ・ハード・ガールズ)@SHG_Official
(C)SEGA
TVアニメ「Hi☆sCoool! セハガール」公式HP:http://shg.sega.jp/anime.html
(C)SEGA /セハガガ学園理事会

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