シンガポールで需要高まるバイク車載カメラ--事故記録や詐欺防止に

 シンガポールでバイク運転者の車載カメラ需要が高まっている。事故の紛争処理で映像提出が有利に働くためだ。また、同国で横行する自動車保険詐欺を防ぎたいという保険会社の動機も車載カメラの普及を後押ししている。

 現地のバイク部品販売会社ユニーク・モーターによると、2013年ごろから車載カメラの売れ行きが伸び始め、現在では毎月5~10%で伸びているという。同社は米GoProの小型カメラ4モデルを販売している。価格は329~599シンガポールドル(Sドル)。同業のワオ・ガジェッツも7月から車載カメラの販売を開始した。1カ月当たりの売上高は20%で伸びているという。同社は韓国製の小型カメラ「ブラックビュー」などを販売している。

  • バイク部品販売会社ユニーク・モーターのウェブサイトでは車載カメラとして米GoProの小型カメラが販売されている

 バイク運転者の車載カメラ需要が高まる背景には、事故時の紛争処理に備えようとする動機があるようだ。Singapore Road Safety Council(SRSC:シンガポール道路安全評議会)のBernard Tay会長は、地元大手新聞「The Straits Times(ザ・ストレーツ・タイムズ)」のインタビューで「通常事故処理では、バイク運転者が事故の責任を負わされることが多い。しかし、カメラを搭載しておくことで、自動車側の責任を追求することが可能となる」と指摘した。その上で「バイクの後方にもカメラを搭載しておくことで、追突されたときの状況を記録に残すことができる」と説明した。

 また、保険会社による事故映像提出促進の取り組みも車載カメラの普及を後押ししていると思われる。地元保険共済大手NTUCインカムは5月、事故の紛争処理の助けとなる映像を提出した保険加入者に対して保険更新時に100Sドル割り引くプロモーションを開始している。NTUCインカムが事故映像の提出を促進する背景には、自動車保険金詐欺の横行がある。General Insurance Association(GIA:シンガポール損害保険協会)によると、同国の自動車保険請求額の約20%が水増しまたは不正請求で、年間約1億4000万Sドルの損失につながっているという。

 シンガポール交通警察の統計によると、バイクが絡む死亡事故は過去3年で約30%減少したものの、登録バイク数は14万4000台と横ばいで推移している。シンガポールにおけるバイク運転者の車載カメラ需要は今後しばらく増加傾向が続きそうだ。

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