ディー・エヌ・エー(DeNA)は11月7日、2015年3月期第2四半期(4~9月)の決算を発表した。売上高は前年同期比28.0%減の718億2600万円、営業利益は同53.3%減の149億8000万円、純利益は同50.0%減の92億5100万円となった。前年同期比では減収減益だが、前四半期と比べると増収増益で着地した。
同四半期は、利益率の高いブラウザゲームとプロ野球事業が好調で、当初の見通しを上回ったほか、広告宣伝費などのコスト削減が奏功したとしている。また四半期ごとに30億円近い減少が続いていた国内のコイン消費額も、365億円と第2四半期は第1四半期からマイナス10億円に留まっている。
DeNA代表取締役社長の守安功氏は、「成長への手応えを感じることができた」と語り、引き続き同社の主力事業であるゲームに注力していくと話す。直近では、スクウェア・エニックスと提供する「ファイナルファンタジー レコードキーパー」が9月末の公開から約1カ月で300万ダウンロードを突破。10月単月で月商10億円のタイトルへと成長しているという。
守安氏は「ようやくアプリでもヒットタイトルが出せた。我々がこれまで取り組んできたブラウザのソーシャルゲームのシステムやイベント設計などの運営手法が十分通じることが分かった」とコメント。ファイナルファンタジーという人気タイトルの力は大きいとしながらも、同社がブラウザゲームで培ってきた集客ノウハウなどを生かすことで、大きなヒットへとつなげることができたと説明した。
ただし、すでにコアなファンは刈り取ったと見ており、今後はファイナルファンタジーシリーズを1作品でもプレイしたことのあるミドル、ライトユーザーの獲得を目指す。また、欧米市場向けの配信も予定しているという。下期はDeNAのオリジナルタイトルからもヒットタイトルを創出したいとしている。
第3四半期(10~12)の業績見通しは、売上高が348億円、営業利益が56億円。第2四半期と比べると減収減益を見込んでいるが、シーズンオフとなるプロ野球事業を除くと、営業利益は微増の見通しだ。「本業では増収増益の目処が立ってきた。国内はブラウザゲームの減少が続くがそこをアプリが補う。ゲーム事業を中心にようやく反転できるという手応えを持っている」(守安氏)。
同社では、中長期で収益の柱となる事業の創出にも力を入れており、成長領域には積極的に投資している。マンガ雑誌アプリ「マンガボックス」は9月に600万ダウンロードを突破したほか、仮想ライブ空間「SHOWROOM」は9月にリニューアルし、ジャンルを多様化させた。8月からは遺伝子検査サービス「MYCODE」なども提供している。
そして、キュレーションサービスである、住まい・インテリアの「iemo」と、女性向けファッション「MERY」の運営会社を9月に買収した。「MERYはサービス開始から1年ほどでMAU(月間アクティブユーザー)が1200万を超える。それもノンプロモーションだ。インターネット業界でいろいろなサービスを見てきたが、これほど急激に成長しているサービスはあまり記憶にない。スマートフォンの時代にあったメディアの作り方の1つの解が、キュレーションメディアだと思っている」(守安氏)。
また、両サービスがブラウザでも成長していることに触れ、「成功するサービスを模索してきたが、僕の頭のなかでは“アプリ”でのヒットサービスだったので驚いた。ブラウザでも十分集客できる」とコメント。両サービスの集客手法を、他のサービスにも活用していきたいとした。
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