10月上旬には日本のグループ企業や出資先企業のファウンダーら40名をシンガポールに一同に集め「ファミリーミーティング」を開催した。お互いの知見や経験、各国の情報を共有しあう場である。社外に発表できない内容ばかりということで中には入れなかったが、その狙いについて取締役の伊藤直氏に聞くことができた。
まず、Eコマースという共通の領域で事業を展開する各社が、それぞれの事例や各国の情報を共有することでお互いの学びが見つかる。新興国の企業が先進国の情報を入手することでタイムマシン経営に生かせるし、逆に先進国の企業が新興国から学べることもある。例えば、トルコのEコマース市場では割賦販売が浸透している。これは、日本でクレジットカードを持たないユーザー向けのサービスに応用できるかもしれない。
次に、事業の海外展開を検討する材料を仕入れることもできる。もし進出した際にファミリー内で競合関係が生じる場合には、顧客を奪い合うのではなく企業間での提携を検討することも可能だ。他にも、ファウンダー同士が交流することによる相乗効果のメリットは大きい。
ファミリーとして迎え入れるか、つまり投資判断の基準は、その国のマーケットの大きさだけでなく問題解決のインパクトの大きさも重視している。そして、「お財布が大きいおじさんが来たよ、ではなく、同じミツバチとして蜜の香りを求める強い姿勢をお互いに感じられるか」を見ている(取締役の伊藤直氏)。
直近では、インドの大手ベンチャーキャピタル Nirvana Venture Advisorと、米国のベンチャーキャピタル 500 Startupsと共同で、インド大手のEコマースサイト開設サービス「KartRocket」を運営するBigFoot Retail Solutionsに、200万ドルを出資した。同社代表の佐藤輝英氏、伊藤氏、そして各国にちらばるBEENOSの各国駐在員らは、引き続きスタートアップの発掘と育成を行う。
最後に、伊藤氏から日本の起業家へのメッセージをもらった。「日本の起業家はクオリティの高さを求めることに長けている。性格がマメで、それに行動も伴う、期日を守ることも得意。それは生かしていくべき。一方で、個人としての魅力を発信する意欲を持ってほしい。投資は人のネットワークの上に成り立つもので、ファウンダーへの期待の度合いで投資するかを決めるのだから」。
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