BlackBerryの失速は、その中核的機能である電子メールとメッセージの暗号化が原因だったと、かつて米国家安全保障局(NSA)で法律顧問を務めたStewart Baker氏が指摘している。
Baker氏は、アイルランドのダブリンで開催されているWeb Summitで発言し、BlackBerryの失速は暗号化の取り組みに原因の一部があると語った。さらに同氏によれば、この数カ月間、AppleとGoogleも同様の取り組みを推し進めているという。
Baker氏はWeb SummitでThe Guardian紙の編集者であるJames Ball氏を相手に語り、「BlackBerryは、GoogleとAppleが現在推進しているのと同じビジネスモデルを開拓した。だがこのモデルは、BlackBerryの場合は良い結末に至っていない」と指摘した。
Baker氏は主張の根拠として、ロシア、中国、アラブ首長国連邦(UAE)などでは、テロとの戦いやその他の重大な犯罪に対抗する目的で、企業は保存データを当局に提出することが義務づけられていると語った。そのため、BlackBerryはこうした国々で冷遇されたのだという。
「BlackBerryは自らの製品が売れなくなるような機能をわざわざ組み込んだ。我々は米国内でサイバー戦争に勝利したらそれで終わりだと考えがちだ。しかしそれは、最も容易な戦いに勝っただけだ」とBaker氏は語った。
Baker氏の主張には一理ある。インドは、同国の治安当局が捜査を行えるよう、暗号化されたネットワークの開放を繰り返し要求し、最終的には妥協が成立した。インドと同様の要求をしていて、BlackBerryの中核サービスが設計段階から傍受できない仕組みになっていることを認識していない国々は、まだほかにもある。
しかし、BlackBerryのそもそもの失速の理由は、暗号化への取り組みではない。AppleとGoogleが台頭する中で消費者の要求に応えることができず、ライバルに対抗しようとするあらゆる取り組みに失敗したからだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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