総務省は10月31日、「SIMロック解除に関するガイドライン」の改正案をまとめ、2015年5月以降に発売する端末についてSIMロックの解除を求めている。それに対し、キャリアはどう対応していくのか。
ソフトバンクは11月4日、2015年3月期 第2四半期(4~9月期)の連結業績発表の中で、ソフトバンク代表の孫正義氏は「総務省の意向には従う。抵抗勢力としてやるつもりはない」と語った。
「SIMロックについては、何年も前からずっと議論していた。総務省としてもSIMロック外しをしたいという意向を持っている、われわれだけでなく、KDDI、ドコモらと議論を深めている。我々は最終的に決まった方針に従う。今は各社プラスマイナス色々調整しているところ。その調整の結論に従う」と話す。
しかし、「もしSIMロックが外れても、極端に流れが変わることはない」と見る。孫氏はiPhoneを例に挙げた。
「例えばiPhoneは日本で一番売れている端末。すでにSIMロックのかかっていないものはアップルストアでいくらでも売っている。売れている多くの台数は、中国やほかの国に持って帰られている端末が多いと聞いている。たまたま発売時期が日本が先だったことも関係しているのかもしれない。日本のユーザーでSIMロックのかかっていないiPhoneをアップルストアに買いに行った客はほとんどいなかったのが実態」と語った。
その理由は価格にあるという。「SIMロックのかかっていないものが欲しいという意見があったが、現にたいして売れていない。大手3社が多くの(ユーザー)獲得費用として補填をし、お客様に売っているというのが実情。SIMロックフリーの端末はアップルから仕入れた値段のままで売る。つまり高い。SIMロックがかかっていないからという理由だけで、わざわざ7万、10万を出して買うユーザーは、ほとんどいなかった」。
もう一つ新たな動きとして、光回線サービスと携帯電話のセット販売がある。NTTドコモは10月31日、NTT東日本およびNTT西日本が提供する光回線サービスを使った「ドコモ光」を2015年2月から開始することを明らかにした。
ソフトバンクBBも同日、NTT東西が提供する光回線サービスを使った独自の光ブロードバンドサービスを提供する予定と発表している。
「われわれとしては光ファイバとバンドルでセット販売すると、結果的に親会社(NTT東西)に利することになるのがやや悲しい気がする。でもお客様がサービスとしてそれが必要であれば、現実を見ながら対応する」と話した。
前向きに対応するとしながらも、警戒感は強い。「NTT東西は光ファイバで7割以上のマーケットシェアがあり、もともと国が作った会社で、今も国が筆頭株主。NTTドコモは日本の携帯事業の中でも最大のユーザーを持っている。そういう会社が優位的な立場を利用して、アンフェアな形で民業の競争を妨げるのはよくない。それは日本の法律でも定められており、KDDIも強く反発している。脱法行為が行われようとしていないか、われわれも、監督官庁の総務省、メディア、皆で注意深く監視しながら管理していくべきであろう」とした。
また、NTT東西は接続事業者に光ファイバ回線を貸出す際に、設備を1分岐でなく、最小でも8分岐単位で貸出すとしており、これまでにもソフトバンクは競争法上の問題があると指摘してきた。この問題を新幹線のチケットに例え、「新幹線のチケットは誰にでも売りますよ。でもみどりの窓口で買うと1枚ずつ買えるけれど、旅行代理店だと8枚まとめてしか買えない。これで、旅行代理店が公平に成り立つのかという難しい問題がある。メタル回線なら、1回線ごとに買えるのに、なぜ光になった瞬間に8枚、8本まとめてしかできないのか。いまだに強い疑問を持っている。継続して、多くの皆様と議論していってほしいと願っている」とコメントした。
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