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編集記者のアンテナ

「無尽合体キサラギ」って何?--ボイス付き小説アプリのアイマススピンオフ作を読む

佐藤和也 (編集部)2014年11月08日 08時30分
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 バンダイナムコゲームスから配信されている「ボイノベ」というスマホアプリがある。声優によるボイスやBGM、イラストを加えた小説アプリで新しい読書体験ができるとうたっている。この4月には第1弾タイトルとして、同社の人気RPG「テイルズ オブ」シリーズから公式外伝「テイルズ オブ ヴェスペリア-断罪者の系譜-」を配信(上中下巻で各400円)。

  • 作品は本棚から購入。無料で読めるサンプル版も用意。また一部作品では、登録した「ともだち」と貸し借りができる機能もある

  • 初期設定ではスワイプでページをめくり読み進めていく。タップに変更したりオートプレイにすることも可能

  • 縦書きだけではなく、横書きで表示させることもできる

  • ボイノベにはボイス付き小説以外にも、ここでしか聴けない「ラジオ」やユーザー同士の交流の場である「サロン」も用意されている

  • ボイノベ作品をテーマにしたラジオ番組「ボイノベレイディオ!」。作品に出演した声優がゲストに来ることも。無料配信

  • サロンは、公式のユーザーコミュニティスペース。感想などを語り合う掲示板となっている

 ボイノベが発表されたとき、同社の人気タイトルのボイノベ化を進めていくとし、「アイドルマスター」シリーズからは「無尽合体キサラギ」が準備中と明かされた。この発表に反応したファンである“プロデューサーさん”も多く、話題となっていた。

テレビアニメの劇中劇として登場したロボットものの「無尽合体キサラギ」

  • キービジュアル。下段が主人公となるアミ(左)とマミ(右)。そして上段左は2人が操るロボット「キサラギ」、右が地球侵略を企てるハルシュタイン

 無尽合体キサラギとは、テレビアニメ版アイドルマスターのなかで765プロのアイドルが出演するロボットものの作品。番組の中では劇場版の予告編が放送された。これは劇中劇で、本来のアイドルマスターとは異なるスピンオフ作品だ。もちろんリアルに作品が制作されたわけではなく展開もない、あくまでネタのひとつではあったが、アイドルをイメージしたロボットが登場したり主題歌として流れた如月千早の「arcadia」が妙に予告編映像とマッチしていたことなど、単なるお遊びやネタを超えて“無駄に”力の入った予告編であったためにインパクトは大きかった。

 その反響からか、放送後の2012年に開催されたアニメコンテンツエキスポでは、架空の作品にもかかわらず劇場パンフレットや特典付き前売りチケット(レプリカ)を含めたグッズセットがリアルに販売されたこともあった。

 こういったことから、ボイノベという形ではあるものの無尽合体キサラギが公式での物語展開があるということに、プロデューサーさんの間ではインパクトを持って迎えられた。そして発表から約半年が経過し、10月からボイノベ第2弾として「アイドルマスター『無尽合体キサラギ』」が配信された(前後編で各600円)。

 構成と監修にはテレビアニメや劇場版アニメ「THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!」で脚本を務めた高橋龍也氏、著者は「ロボットガールズZ」やガンダムシリーズなどを手がけた兵頭一歩氏、表紙や挿絵はコミックスなどを手がけた上田夢人氏がそれぞれ担当するという、どう考えても本気のスタッフ陣となっている。

 今回のボイノベ版無尽合体キサラギは、(実際には制作されていないが)幻の名作テレビ版全13話から第1話から第3話を前編にし、最終話となった第13話を後編として新たに書き下ろしたものとなっている。そしてプロローグは以下のようになっている。

 その日、月が泣いた。
 直径数メートルもあろうかという黒い怪球が、月の裏側より何百も地球に降り注いだ。
 正体不明。地上のいたるところに落下したそれらは人類にはまったく解析不能。
 当初の、地球崩壊の序曲かとの世界的な騒動も結局つかのまのことだった。
 人類はすぐにまた次の興味と享楽に視線を移す。
 怪球は黒々とした姿で黙したまま地上に放置され続けた。そして、一年。

 平穏な学生生活、賑やかなお昼休み。
 アミとマミは、自称『学園の正義のアイドル』。今日も番長の乱暴に痛快なオシオキを与え、担任のアズサ先生からのお説教。だがそれも平和の象徴であった。
 アズサ先生が彼女らに「そういえば、あなたたちに手紙が届いてたの」と伝えるまでは……。

  • 謎の蒼い鳥から、祖父の意思ともいうべき希煌石(キラジェム)を受け取るところから、アミとマミの日常が変わっていく

 学園の人気者であるアミとマミが、誕生日に謎の“蒼い鳥”を通して祖父から希煌石(キラジェム)を受け取り、その力を発動。巨大ロボット「キサラギ」を目覚めさせ、襲いかかる怪ロボットを倒し町の危機を救ったことから戦いの渦に巻き込まれていく。侵攻を企てているのは全宇宙の支配をもくろむハルシュタイン銀河帝国軍のハルシュタイン。そして地球侵攻の指揮を執る、常勝の令嬢の二つ名を持つイオリ司令。ハルシュタイン軍の侵略によって地球が危機にさらされるなか、キサラギを操るアミとマミがどう立ち向かっていくのかが大まかな物語の流れだ。

 前編ではにぎやかな学園生活も描かれるが、月の涙と呼ばれる球体から生み出された怪ロボットの出現によって日常が一変する。イオリの部下であるエージェントスノーによる学園侵略と、その危機に対して正義のヒーローといわんばかりに立ち向かうアミとマミ、そしてロボット同士の対決が描かれている。と同時に、のどかで自然豊かな星「アニマ」に住む巫女のヒビキと、ハルシュタイン軍の“少し変わった人間の姿をした”タカネが相対するところも見どころとなっている。

 後編では巨大ロボのリッチェーンを操る天才パイロットのミキが登場し、アミとマミとともに一緒に戦う仲間となる。一方では、キサラギの前に日本だけは侵略を果たせないという失態を犯したイオリが、進退をかけての決戦を志願。近衛師団長のマコトがイオリの戦いを見守る中で、ハルシュタインが自らある行動に出る。絶望のふちに追い込まれたアミとマミに対して、決して諦めない姿勢で奮闘するミキ。はたしてキサラギと地球の運命は……というストーリーとなっている。

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