NTTは10月10日、岡山県立大、秋田県立大、大阪工業大、電気通信大と共同で開発した人工知能技術が代々木ゼミナールが実施したセンター模試の英語科目を受験した結果、偏差値50.5と平均点を超える好成績を達成したと発表した。
この技術は、国立情報学研究所が進めている人工知能で東大合格を目指すプロジェクト「ロボットは東大に入れるか」の一環で開発されたもので、同社は英語を対象とした人工知能の共同研究チームに参画している。なお、他教科のチームの結果を合わせた総合成績では、国公立大学4校6学部について、合格可能性が80%以上(いわゆるA判定)を得るレベルに到達したという。
発表によると、英語問題を回答した人工知能には、単語の並びを解釈する言語モデル構築技術、対話文を理解して話者の発話意図や発話内容を理解する対話処理技術、書かれている語句の意味(語義)を正確に推定する語義推定技術を適用。
文法・語法・語彙問題では10問中6問、語句整序完成問題では3問中2問、会話文完成問題に3問中1問、話者同士の議論内容のまとめを問う意見要旨把握問題で3問中2問、未知語(句)語意推測問題では2問全問を正解することができたとのこと。
例えば、会話文完成問題では、4つの選択肢それぞれの場合について、対話文の流れとして自然かどうかを判定。この際に、表明、同意、評価といった発話意図の経過の自然さとポジティブかネガティブかという感情極性の一貫性の2つの指標を自動的に推定し選択肢ごとのスコアを算出する。そのうち最も大きなスコアとなった選択肢を解答として選んでいるという。
NTTは今回の結果を受けて、文書に書かれた人物の心情をより深く理解する技術や、文脈処理の技術は一層の進展が必要であると課題を挙げており、基礎研究の推進と文脈を理解し常識を備えた翻訳サービスなどへの技術応用を実現したいとしている。
ちなみに、人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」は、国立情報学研究所の新井紀子教授を中心に、細分化された人工知能分野を再統合することで新たな地平を切り拓くことを目的として2011年にスタートしたもので、そのベンチマークとして、2016年までに大学入試センター試験で高得点をマークし、2021年に東京大学の入試を突破することを目標としている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス