楽天グループのフュージョン・コミュニケーションズは、携帯電話事業に本格参入することを表明。NTTドコモのLTE網を利用したMVNOとして「楽天モバイル」を10月29日に開始した。大手キャリアの3分の1程度の料金を実現し、1000万台の販売を目指すなど、楽天がグループとして大手キャリアと明確に対抗する姿勢を打ち出した。
サービス開始にあたり開かれた発表会では、楽天の代表取締役会長 兼 社長の三木谷浩史氏が登壇。大手キャリアを主体とした日本の携帯電話料金が世界で2番目に高いなどの事例を示し、「日本の携帯電話料金は高すぎる」と指摘。その上で、楽天モバイルでは超低価格を実現しながらも、ドコモのネットワークを利用することで高い品質を実現するサービスだと強調した。
「携帯電話料金を3分の1にしたい」と話す三木谷氏は、大手キャリアと比べた場合の具体的な料金について説明。通信量が2GB程度で、かつ月に30分程度通話するユーザーの場合、楽天モバイルでは「2.1GBパック」(月額1600円)と「楽天でんわ」(30秒10円×30分=600円)の組み合わせによって月額2200円となる。
これは大手キャリアの新料金プラン(6500円前後)と比べて、3分の1程度の料金で済むことになる。家族4人の携帯電話料金を3分の1にすることで、年間20万円節約でき「グアムに行ける」、40年間では800万円節約でき「別荘が買える」など、ジョークを交えながら料金面でのメリットを語った。
楽天モバイルには「2.1GBパック」に加え、高速通信ができる容量に応じて「4GBパック」「7GBパック」、そして高速通信容量のない「ベーシック」の4つのプランが用意されている。三木谷氏はこれらの料金プランについて、いずれも音声通話機能付きLTE対応のSIMによるサービスとしては、大手キャリアだけでなく競合するMVNO各社と比べても安いとアピールした。
楽天モバイルのサービス提供形態は、SIMのみと、SIMとスマートフォンのセット販売の2通りが用意されている。利用できる端末については、ドコモのMVNOであることから、ドコモの端末にSIMを挿入して利用できるのはもちろん、セット販売用の端末として、10月28日に国内投入が発表されたばかりの、ASUSの「ZenFone 5」を提供することも発表している。端末のラインアップは今後も増やすとしており、12月頃には第2弾、2015年2月には第3弾を予定している。
セット販売する端末にプリインストールするアプリに関しては、スマートフォンのメモリを消費してしまうなどの問題があるため、できるだけシンプルにしたいとしながらも、通話料金をお得にするため「楽天でんわ」「Viber」「SMARTalk」と、楽天グループが提供する3つのアプリをプリインストールしている。これらのアプリは、ユーザーの使い方に応じて削除することも可能だ。
三木谷氏は「海外ではMVNOが主流となっている国もある。楽天モバイルではキャリアの補完ではなく代替えを目指している」と話し、キャリアの対抗勢力となることを明確に表明した。それゆえ販売目標も「3~4年で1000万台を目指す」と高い数値を打ち出しており、知名度の高い“楽天”ブランドと、9400万会員を抱える楽天グループの会員ベースを活かしながら、加入者を獲得していく方針のようだ。
その上で三木谷氏は、1000万台の目標を達成するためには「書き換え(番号ポータビリティ:MNP)が重要」と話す。現在、楽天モバイルはウェブのみで申込みを受付けていることもあり、MNPには2~3日程度かかる。そのため、今後は家電量販店との連携などを含め、リアル店舗で手続きできる環境を検討していくとのことだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」