Amazonのタブレット「Kindle Fire HDX 8.9」の新モデルは、外見こそ2013年モデルと同じかもしれないが、中身を見ると、新しいプロセッサを搭載し、Wi-Fi通信システムが刷新されたほか、オーディオも改良され、OSが更新されていることがわかる。
新たに搭載されるクアッドコアの「Snapdragon 805」プロセッサは動作周波数2.5GHzで、Amazonによればグラフィック性能が70%高速化しているという。また、802.11ac MIMOのWi-Fiをサポートし、ピーク帯域幅は4倍になると同社関係者は述べている。
価格は379ドル(16Gバイトモデル)からで、現在予約を受け付け中であり、米国では10月に出荷が始まる。4Gモデルは479ドルで、同じく10月から出荷される。
Amazonは、Fire HDX 8.9をAppleの「iPad Air」と比較することにためらいはない。iPad Airも2014年秋にプロセッサがアップグレードされる見込みだ。HDX 8.9は見事なほどスリムで、重量は13.2オンス(約375g)と、iPad Airより20%軽く、Amazonによれば2560×1600(339ppi)のディスプレイは、iPad Airの「Retina」ディスプレイよりもピクセル数が30%多いという。
2014年内に、「Dynamic Light Control」という新機能が有効になる。これは「周りの環境光に応じてディスプレイのホワイトポイントを調整し、Kindleブックのページ表示が実際の紙の色に近くなる」機能だ。ニューヨークで開催の発表イベントでは、この機能に関する短いデモが実施され、電子書籍のページの背景と紙の本のページが数種類の光の条件のもとで比較された。
またAmazonは、HDX 8.9のスピーカー音量はiPad Airの2倍であり、タブレットとしては初めて「Dolby Atmos」を搭載するとしている。Dolby Atmosは通常、映画館で10数基の「サラウンド」スピーカーを必要とするシステムだ。Atmosの体験を379ドルのタブレットと標準的なヘッドホンで再現できるという主張には、いささか無理がある(筆者はニューヨーク市にあるDolby Atmos対応の映画館で「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」を鑑賞したところ、非常に良い音質だった)。この機能のデモもあったが、率直に言って感心するほどではなく、基本的にはある種の擬似サラウンドのように聞こえた。とはいえ、初のAtmos対応タブレットとしては素晴らしい音質だ。
エントリレベルの99ドルの「Kindle Fire HD 6」など、「Kindle Fire HD」シリーズの新モデルと同様に、Fire HDX 8.9も新しい「Fire OS 4.0」(Sangria)を搭載する。Sangriaは「Android 4.4」(KitKat)のカスタマイズバージョンであり、「Family Library」や「Firefly」のほか、Amazonが無料で提供しているクラウド写真ストレージ機能(Fireデバイスで撮影した写真用)を備えている。
下位機種の「Fire HDX 7」については2013年モデルからのアップグレードはないが、米Amazonでは16Gバイトモデルが229ドルから199ドルに値下げされている。2013年モデルのKindle FireタブレットはすべてFire OS 4.0へのアップグレードが可能で、同OSの新機能を利用できる。
Amazonが前面カメラと背面カメラ(背面カメラは8メガピクセルで、1080pの動画撮影に対応)をアップグレードしたか気になる人もいるだろう。アップグレードはされていないが、Amazonの関係者によると、カメラのソフトウェアが一部改良されているという。また、バッテリ持続時間については引き続き、「最長12時間の読書、Wi-Fiでのウェブ閲覧、動画視聴、音楽鑑賞が可能」とされている。
2013年に登場した魅力的なHDX 8.9は、素晴らしい出来の製品だった(米CNETのEric Franklin記者も高く評価していた)。まさにAmazonのFireシリーズの花形というにふさわしく、筆者が限られた時間の中で新モデルを試用したところでは、現行のあらゆるタブレット製品に速さでひけをとらないと感じられた。
第一印象としては、新型のFire HDX 8.9も引き続きAmazonのヘビーユーザー、特に「Amazon Prime」会員にとって魅力的な選択肢となりそうだ。大きな欠点を挙げるとすれば、「Google Play」アプリストアにアクセスできないことと、メモリ拡張オプションがないことくらいだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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