ソニー、メガネ型端末「SmartEyeglass」を開発--SDKの提供も開始

 ソニーは9月19日、透過式メガネ型端末「SmartEyeglass」を開発したと発表した。ソフトウェア開発キットの提供に加え、2014年度内に開発者向けに発売する。


ソニーのデバイスソリューション事業本部 SIG準備室 統括部長である武川洋氏

 ソニーでは、2012年に米国の映画館チェーンにメガネ型端末を導入。聴覚障害者向けの映画字幕表示システムとして活用されているという。メガネ型端末が登場する以前は、来場者が各手元に別のディスプレイを用意し、スクリーンと手元のディスプレイを交互に見ることで字幕を確認していたとのこと。メガネ型端末の導入により、スクリーンの画面に重ねて字幕が見られるようになった。

 ソニーのデバイスソリューション事業本部 SIG準備室 統括部長である武川洋氏は「米国ではすでに映画館向けに展開しているメガネ型端末だが、SmartEyeglassは民生市場向けに進めていきたい。一般のお客様に感動をお届け出来る商品だと考えている」と商品の位置づけを話した。

 SmartEyeglassは、両眼透過式メガネ型ディスプレイとコントローラで構成され、スマートフォンとBluetoothまたはWi-Fi接続することで、目の前にある風景に重ねて情報を見られるというもの。すでに1月の2014 International CESや9月のIFA 2014で出展されている。

 開発にあたり、ソニーでは「自然な外観」「見やすさ」「かけ心地」の3点に注力。通常のメガネと同程度になる3mmの薄型レンズを採用したほか、光透過率85%を超えるレンズ透明度を実現した。レンズ部分はハーフミラーではなく、ホログラム導光板を採用することで目立ちにくくしたほか、光学エンジン部分などを小型化することで、通常のメガネに近いデザインとサイズに仕上げている。

  • 「SmartEyeglass」

  • プロトタイプの構成概要

  • 光学モジュール技術

 各種情報は、視界の下部分に緑色単色で表示される。これは目の前の風景から目をそらさず、同時に情報が見られることを考慮し設定したもの。カラーではなく単色表示を採用することで、低消費電力で明るい画像を再現できるという。

 レンズの端にカメラを搭載し、静止画で300万画素、動画でVGA画質での撮影が可能。撮影した静止画や動画は、連携しているスマートフォンに保存される。

 搭載センサは加速度センサ、ジャイロスコープ、電子コンパス、照度センサ、マイク。コントローラ部に入力ボタンやバッテリ、マイクなどを内蔵する。電池の持ち時間については使用状況によって異なるとしているが、500ニットの明るさでBluetooth接続した場合約3時間程度としている。メガネ部の重量は約77g、コントローラ部は44gになる。

 会場内では、ソーシャルメディアの情報をもとに自分のいる周辺や指定した場所で起きている出来事をリアルタイム配信する「Localive」(Euclid lab.)、10月に開催される「大阪マラソン2014」で実証実験を実施する「グラッソン」(ケイ・オプティコム)、周辺スポットを検索できたり、ナビゲーションする「NAVI for SmartEyeglass」(ゼンリンデータコム)、顔認識により名前や企業名などを表示する「Face Recognition」(ソニー)などのアプリを展示。デモンストレーションも行われた。

 ソニーでは、同日からソニー製品対応アプリケーション開発支援サイト「Sony Developer World」にて、エミュレーター、サンプルコード、APIリファレンスなどを公開している。「このデバイスがいきるアプリを開発者の方と一緒に作っていきたい」(武川氏)としている。

 武川氏は発売時期と価格については未定としたが、ヘッドマウントディスプレイ「HTZ-T3/T3W」の発売時の想定価格10万円から大きく外れるということはないと話した。

  • 「SmartEyeglass」内の情報表示イメージ。緑色単色になる

  • 「Face Recognition」のデモ。顔認識し、所属や名前などが表示される

  • 「大阪マラソン2014」での実証実験では走行情報やランナーへの応援メッセージなどが表示される

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