米Tesla Motors(テスラモーターズ)のCEOであるイーロン・マスク氏が、9月8日に開催されたスポーツ電気自動車(EV)「モデルS」の納車記念式典に出席した。同日はマスク氏が簡単な挨拶をした後、すぐに質疑応答へと移り、報道陣からのさまざまな質問に答えた。ここでは、日本のエネルギー問題について尋ねられたマスク氏のコメントを紹介したい。
東日本大震災にともなう津波によって発生した福島第一原発の事故は、日本のエネルギーのあり方や考え方を大きく変えた。マスク氏は、原子力発電について「すでに必要な役割を果たし終わったのではないか」と指摘。津波に耐えうる原子力発電所を作ることができない限り、現状を維持することは難しいと語る。
では、その解決策は何か――マスク氏が挙げるのが「太陽光発電」だ。同氏は、2006年に太陽光発電会社のソーラーシティを立ち上げ、2012年末に上場を果たしている。マスク氏は、太陽光について「文明がすでに証明しているように、長期的に信頼性の高いエネルギーソースだ」と強調。今後は太陽光発電が中心になってくると見ている。
ガソリン車がまだまだ主流の日本市場において、電気自動車は普及するのかという質問も投げられた。これに対しマスク氏は、持続可能な運用手段の重要性について述べた上で、太陽光発電で動く電気自動車は、日照時間が比較的長い日本とは相性が良いと説明。ゆくゆくは日本全体が、電気自動車へと移行していくとの見方を示した。
また、経済産業省や大手自動車メーカーが2015年以降の普及を目指している、水素で動く燃料電池自動車(FCV)については「さまざまなテクノロジに実験的にトライしていくことには意味がある」としながらも否定的な考えだ。
その理由については、「水素エネルギーそのものを作るのに非常に時間がかかる。それに、水を水素と酸素に分けなければいけないため、また別のエネルギーが必要になってしまう。さらに、水素そのものを貯蔵して移送させることが非常に難しく、揮発性も高い」と説明。その上で、水素ガス自動車は「行くべき方向ではない」と語った。
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