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ものづくりを加速させる「3Dプリンタ」

「産業用3Dプリンタ市場に風穴を」--アビー、100万円台の光造形モデルを投入

井指啓吾 (編集部)2014年09月02日 07時00分
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 アビーは9月1日、日本製3Dプリンタの新3機種を発表した。同日より予約を受け付けており、9月中旬より発送する予定だ。

  • 個人向けモデル「SCOOVO X9H」

  • 光造形方式の3Dプリンタ「SCOOVO MA30」(左)、「SCOOVO MA10」(右)

  • 右3列がX9Hで造形したもの、左3列がMA30/MA10で造形したもの

30万円を切った個人向けモデル

 既存モデル「SCOOVO X9」の上位機種にあたる「SCOOVO X9H」は、X9の基本性能はそのままに、最大造形サイズを、高さ340×幅200×奥行き200mmにまで拡張。これは容積比にしてX9の1.7倍となる。これにより、プロダクト、建築、キャラクターなどのデザインでニーズがあるという“高さのあるオブジェクト”の造形が可能となった。

  • 新たに液晶パネルやSDカードスロットが搭載された

 フロントパネルには、液晶パネルと操作ボタン、SDカードスロットを搭載。SDカードを利用できるようにすることで、オブジェクト造形時に3DプリンタとPCを接続する必要をなくし、設置場所の自由度を高めた。

 使用できる素材は、PLAフィラメント(Φ1.75mm)、ABSフィラメント(Φ1.75mm)。カラーはシルバー、ブラックの2色で、価格は税抜27万7593円。Windows Vista/7/8/8.1(32bit/64bit)をサポートしている。

 9月1日よりアビーストアにて予約を開始。ヨドバシカメラなどの家電量販店、小売店で順次発売する。個人向けとして売り出すが、各種メーカーもターゲットにしている。

100万円台の光造形モデル

 紫外線を照射して液体樹脂を固める光造形方式の3Dプリンタ「SCOOVO MA30」「SCOOVO MA10」は、小さな造形物であれば液体樹脂300ccで制作できるというランニングコストの低さが特長。造形中に液体樹脂が不足した場合には補充して再開できる。


 光源はレーザーとLEDのハイブリッドで、寿命は約2万時間。これは水銀ランプを光源とする光造型機のおよそ10倍に相当する。MA30とMA10の違いは、最大造形サイズや造形速度、積層ピッチの大きさなど。高性能なMA30は、最大で高さ150×幅96×奥行き54mmのオブジェクトを、1時間あたり最大で高さ25mmの積層速度で造形できる。

 使用できる素材は、耐候性の高いアクリル樹脂と、弾性・柔軟性に優れるゴムライク樹脂。また、この2つを配合することにより、適度な弾性・柔軟性をもったオブジェクトを作ることもできるという。オプションとして、オブジェクトの色調を変えるための着色料12色を用意する。この12色を混ぜて新たな色を作ることもできるそうだ。

 カラーは、MA30とMA10ともにシルバー、ブラックの2色。価格は、MA30が税抜298万円、MA10が税抜168万円。9月1日から問い合わせフォームと電話で予約を受け付けており、正規販売代理店、特約店でも順次発売する。

  • MAシリーズによる造形物

「高価格の産業用3Dプリンタ市場に風穴を」

 アビー代表取締役社長の坂口信貴氏によれば、大手メーカーが販売する従来の光造形方式の3Dプリンタの価格は、安くても100万円台後半からで、1000万円以上するものも珍しくない。なかには200万円程度で販売されているものもあるが、それは指輪などの“サイズの小さなもの”しか造形できないという。

  • アビー代表取締役社長の坂口信貴氏

 「MA10のように、100万円台で、十分なサイズのオブジェクトを造形できる3Dプリンタはほとんどない。本体に加えて、素材も(保守契約などの)サービスもすべてを安価で、1つのパッケージにして提供する。価格が異常に高い産業用3Dプリンタ業界に風穴をあけたい」(坂口氏)。

 アビーが光造形型3Dプリンタを安価に提供できるのには“光源”に理由がある。MAシリーズの光源は、すでに開発されている「DLPプロジェクタ」を採用している。国内のプロジェクタメーカーから協力を得ることで、この光源の開発費を削った。3Dプリンタ用に開発されたものではないため不十分な部分もあるそうだが、その点を含めて、今後について協力メーカーと協議しているという。

 MA30とMA10の目標販売台数は、2015年に計500~600台。一方、X9Hの目標販売台数は、約3000台を売り上げたX9の130%にあたる約3900台。医療や教育、建築、自動車などの中小製造業を中心に、ものづくりのさまざまな現場での利用を見込む。

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