ドルビージャパンは、頭上からの音を加えて新たなサウンド体験を提供する新音響技術「Dolby Atmos」の家庭用技術の提供を開始した。それに合わせ8月21日、技術説明会を開催。Dolby Atmos対応のAVアンプによる体験会も実施した。
ドルビージャパンの代表取締役社長である大沢幸弘氏は「ドルビーは新しい技術を提供し続けようとしている企業。映画の音響技術が主の会社と認識されている方も多いと思うが、昨今活動領域が広がり、映像や音声の最新技術も提供する企業になっている。今日ご紹介するDolby Atmosは今までとは違う映画の音響体験ができる新技術。この秋にはオンキヨー、デノン、パイオニア、ヤマハの各社からDolby Atmos対応のAVアンプが世界の先頭を切って発売される。これにより最新の立体音響が家庭にもやってくる」とコメントした。
Dolby Atmosは2012年に登場した、シネマサウンド技術。サラウンドスピーカに加えてオーバーヘッドと呼ばれる天井スピーカを使用することが特長で、音が押し寄せてくるような、音に包みこまれるような、新感覚の音響体験ができる。
現在、東京・日本橋の「TOHOシネマズ 日本橋」など8館がDolby Atmos対応の劇場を完備しており、導入予定の劇場も合わせると採用している映画館は計10館にのぼる。対応する映画タイトルはハリウッドを中心に120本を超え、日本でも2015年春公開予定の「THE NEXT GENERATION パトレイバー」長編劇場版がDolby Atmosを採用する。
家庭用のDolby Atmosは、劇場版のDolby Atmosを家庭でも体験できるようホームユース機器に採用したもの。発売後のファームアップデートも含むが、今秋発売されるオンキヨー、パイオニア、デノン、ヤマハのAVアンプに導入される。
Dolby Laboratoriesのアドバンストテクノロジーグループ リサーチサウンドテクノロジー シニア・ディレクターのBrett Crockett(ブレット・クロケット)氏は「映画館では最大128個のオブジェクトまで再現できるDolby Atmosだが、ホームユースになってもそのすべてのオブジェクトを失うことなく再現できる」とDolby Atmosを表現する。
体験会では、メーカーごとに試聴室を設置。フロアスピーカ7台、サブウーファ2台、天井スピーカ4台の7.2.4ch構成、フロアスピーカ5台、サブウーファ2台、天井スピーカ4台の5.2.4ch構成など、いわゆるホームシアターの環境に天井スピーカを組み合わせた構成で、Dolby Atmosの立体音響を再現した。
「Dolby Atmosを再現するために理想的なのが天井スピーカの導入。しかし家庭では天井にスピーカを設置するハードルは高い。その問題を解決するためにイネーブルドスピーカー技術を開発した」(Crockett氏)と紹介されたイネーブルドスピーカーは、スピーカの上にもう1つスピーカを設置し、天井に音を反射させることで、天井からの音を聞こえるようにするもの。ただ反射させるだけでなく、周波数特性を変えることであたかも上から音が聞こえてくるような処理をしているという。
オンキヨーでは、いち早くイネーブルドスピーカーを使った体験会も実施。2014年秋をめどに商品化するとしている。
Crockett氏は「現在のDolby Atmosはどこでも楽しめるわけではない。今後はどこでも体験できるようDolby Atmosヘッドホン技術も開発中だ」とし、ヘッドホンへの応用も明らかにした。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス