トレンドマイクロは8月6日、コンシューマー分野における2014年からのビジネス戦略を発表した。導入時期や価格などは未定だ。
ビジネスの柱とするのは、(1)IoE(Internet of Everything)時代に対応する新ソリューションの創出、(2)個々人の環境に即した「セキュリティコンシェルジュ」サービスの提供、(3)新興市場におけるモバイル向けソリューションのフリーミアムモデルの導入──の3つ。現在、全世界で2550万のコンシューマーユーザーを、2016年末までに2.5倍の6300万ユーザーへ成長させることを目指す。
同社によれば、2018年には1人あたりのモバイルデバイス数が約1.4台になり、モバイルデバイスの数が人口を超えると説明する。家庭内には、PCのみならずタブレット、モバイルデバイス、ゲームコンソール、カメラ、スマートテレビなど、インターネットに接続されたデバイスが増え続ける傾向にあるのは周知の通りだ。トレンドマイクロでは家庭も「小さなオフィス」と表現する。
最近では、スマートフォンからエアコンや電球のオン/オフができるスマート家電も増えてきた。一方で、家庭内のスマートデバイスが攻撃されれば、勝手にスマート家電を消灯されたり、監視カメラの録画画像がハッキングされて盗み見られたりする可能性もある。
現在は、PC用、スマートフォン用などそれぞれに合わせたウィルス対策ソフトがある。久しぶりに古いPCを起動したら、有効期限が切れていた──そんな経験もあるかもしれない。トレンドマイクロでは、家庭で接続するデバイスを一括管理できる「セキュリティアットホーム」を提供する。有効期限を気にせず使える月額サービスになる見通し。
セキュリティアットホームの利用にあたっては、個々の機器にインストールするアプリケーションと、ルータに取り付ける専用機器が必要になる。ネットワーク機器ベンダーや通信事業者、サービス事業者らとの協業も視野に入れ、セキュリティソリューションを提供していく。
今後、新たな家電や現状では予測できないデバイスがでてくる可能性がある。それに対し、トレンドマイクロ 代表取締役社長のエバ・チェン氏は、「予想もできないデバイスや知らないOSのネット機器、それらをすべて守れるかどうかは正直いってわからない。ただ、お約束できるのは25年間、これまでも新しいデバイスに対応してきたということ。このまま適切なソリューションを提供していきたい」と語った。
このほか、スマートフォン、タブレット端末といったモバイルデバイスを家庭外でも安全に使えるサービス「セキュリティエブリウェア」も提供する。トレンドマイクロの「クラウドゲートウェイ」を介することで、利用するデバイスやOSの種類に関わらず、各種ウェブサービスなどを安全に利用できるというもの。必要な機能はクラウド上で柔軟に追加することができ、金融やオンラインショッピングなどを行う事業者にもOEM提供するとしている。
さらに、「最近PCの動きが遅い」「スマホに変な画面が表示されている」といったユーザーが感じる不安を解消する「セキュリティコンシェルジュ」サービスも提供する。「Trend Micro Smart Protection Network」の持つ不正ファイルや不正ウェブサイトなどの脅威データベースと、コンシューマーユーザーから自動的にフィードバックされた情報を相関分析。ユーザーが保有するデバイスの種類や利用状況などを踏まえてパーソナライズされたサービスを提供するとしている。トレンドマイクロは、直接ユーザーへ提供するだけでなく、カスタマーサポートセンターを運営するパソコンベンダー、デバイスベンダー、通信事業者やサービス事業者などと連携して提供する方針だ。
今後モバイルデバイスの導入が急増すると見られる新興市場には、B to B to C(Business to Business to Consumer)の新たなエコシステムを推進していく。具体的には、モバイルプロバイダなどモバイルデバイス向けにアプリやサービスを提供する事業者と協業。トレンドマイクロが安全性を確認したアプリやサービスのみをコンシューマーユーザーに提供していく。
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