マイクロアドの東南アジア広報を一手に担う松本未央さん--海外メディアならではの特性は - (page 2)

各拠点でのメディア露出が「営業」「採用」に貢献

――記者と会う機会が多いと思うのですが、日本と東南アジアでなにか違いは感じますか。

 こちらの記者の方がよりフランクかもしれません。日本での取材は綿密な事前の打ち合わせと場作りがきっちりしていることが多いのですが、こちらではカフェで待ち合わせをしてコーヒーを飲みながらその場で情報交換を始めるようなことも少なくありません。

 他には、マーケティング系のウェブニュースサイト「ClickZ」(拠点は香港)のように、東南アジアに拠点はなくてもこの地域をウォッチしているメディアもあります。そのようなメディアの記者は出張ベースでシンガポールを訪れるため、そのタイミングを狙って取材を調整するようにしています。

――広報に関する国ごとの特徴などがあれば教えて下さい。

 シンガポールには東南アジアを一括りとして見ている記者が多いようです。その理由は、1カ国単体として見るとマーケットが小さい一方で、東南アジアのハブとして彼らは捉えているからです。ですから、各国の状況について記者の質問に返答できるように、各拠点で働く現地のスタッフにヒアリングをして情報を吸い上げるようにしています。

 その他の国ですと、フィリピンは取材に遅れてきても取材では質問攻めにするような物怖じしない記者が多いです。インドは時間がゆっくり流れていて、提案した取材の企画に対する返答だけで1カ月ほど待たされることもあります。広報としては折れず、根気よく追い続けることが大事です。インドネシアでは、広報という概念がまだ成熟しておらず難しさを感じています。

――広報活動の成果は。

 他の国に先立って広報部を立ち上げたベトナムでは、ウェブニュースサイト最大手のVnExpressウェブ版やビジネス系のテレビ番組のFBNCなどで大きく取り上げられました。これらの露出の後、「営業のアポが取りやすくなった」「採用に応募してくる人の数が2倍に増えた」といった現地の声がありました。このように成果につながる広報を常に意識しています。

――素晴らしいですね。ところで、今暮らしているシンガポールで気に入っているところはありますか。

 世界各国の料理が食べられるところですね。女の子1人で住んでも日本と同じかそれ以上に安心なのも良いです。また、同世代の日本人もたくさん住んでいるので週末は友人で集まったり、IT関連のビジネスを自分で起業している人と話して情報収集したりしています。これからは、当社の拠点がある国以外にも旅行で出かけてみたいです。


松本さんの好物は、中華レストラン「Silk Road Restaurant」の名物・麻婆豆腐。山椒が利いて辛ウマ

――松本さんのように東南アジアで働きたいという女性は増えると思います。

 そういう方はとりあえず思いきって来てみるのも大事だと思いますが、一方でスペシャリストといえるスキルを身につけていないと仕事探しで苦労することもあると思います。当社でもNUS(シンガポール大学)出身の女性社員が広報アシスタントとして働いていますが、とても優秀で、彼女たちと対等に働くのは簡単なことではないと私自身も日々感じています。

――広報アシスタントや各拠点の担当者にはどのような教育を。

 例えば、いまシンガポールの拠点で取り組んでいるのは記事のクリッピングです。ネットニュースや新聞の記事をピックアップして、それを読むことで各国の状況を把握しつつ、当社を記事で露出させるための切り口を企画し、記者に提案するトレーニングを行っています。

――最後に今後の目標を教えて下さい。

 まずは各拠点で広報部を立ち上げること。そして1年後には、東南アジアやインドにおける重点メディアで毎月10件以上の掲載数を実現できるようにすることです。各拠点で広報部の体制が確立されたら、東南アジア以外の地域にある国への進出にも挑戦したいと考えています。

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