わずか5日で目標額を達成--ひかりTVが挑戦するクラウドファンディングとは - (page 2)

ファンド対象商品として取り扱いの少ないゲームコンテンツで目標額に達した理由

--ミュージックセキュリティーズと提携された理由は。

  • ひかりTVサービス本部サービス戦略部ビジネス企画担当の増島祐介氏

増島:ミュージックセキュリティーズはファンドの募集総額が現在45億円弱と国内でトップクラスです。そうした実績に加えて、1度投資して終わりではなく、複数のファンドに投資をされる投資欲の高いお客様が利用されていると聞いています。その点も魅力的に感じ、ミュージックセキュリティーズにお願いさせていただきました。

 ただ、掲載されているファンド内容を見ると飲料や食料などが多く、デジタルコンテンツの取り扱いはそれほどありませんでした。そういった意味では浮いてしまうのではないかという懸念もありましたが、先方もぜひ応援していきたいと言ってくださって、実現できました。

--今まであまり取り扱いのなかったゲームの資金調達を5日間で達成できた理由はどこにあるのでしょう。

増島:1つは通常2~3万円程度で設定されているファンドの一口の価格が5285円と、ほかに比べると投資のハードルが低かったこと。もう1つはゲームという商材がほかのファンドに比べて目新しかったことが大きな理由ではないかと考えています。

 また、ミュージックセキュリティーズを利用する投資家の方は、30~40代の男性が多いそうです。その世代と性別にゲームというコンテンツが受けたのではないかと思われます。

 今回、専門学校HAL大阪の学生が手がけるゲームを取り扱いました。クリエーターである学生のみなさんが投資を募るウェブサイト上に、かなり作りこんだグラフィックや動画を提供してくれたことも、成功の要因だったと思います。投資していただいた資金で自分たちは何がしたいのか、何ができるのかを投資家の方に的確に伝えることができたのではないでしょうか。

--一口価格を5285円、募集総額を128万円とされていますが、どうやって決めているのですか。

増島:一口価格は、ミュージックセキュリティーズが扱っているファンドの金額を参考に私たちが決めました。募集総額はHALの教員の方に相談してヒアリングした結果、制作費を算出しています。今後、この一口価格と募集総額は案件ごとに変更します。

--HAL大阪の学生クリエーターの反応はいかがですか。

  • ミュージックセキュリティーズのウェブサイト

増島:非常に喜んでいただけました。新しいゲームは10月公開を予定しており、お客様を最大限に楽しませることができる、面白いゲームを作り上げたいと意欲を見せていました。

金夛:今回は学生が作ったゲームコンテンツの制作を応援しましたが、対象をゲームや学生だけに絞っているわけではありません。ただ、ほかのコンテンツに比べてゲームはアマチュアの方が配信するプラットフォームが少ない印象がありました。若いクリエーターが数多くいる分野なのに、なかなか陽の目を見る機会がない。そうした現状に何か一手打てないかと考えて、今回は学生のゲームコンテンツ制作を応援することに決めました。

対学生だからこそ重要だった“言い訳”をしないビジネス

--ひかりTVドリームに取り組まれるにあたって、苦労された点を教えて下さい。

増島:金融商品であるため、社内に知見のある人材が限られていて、その事業内容を精査していくのが大変でしたね。何ができて何ができないのか、その線引きは非常に難しくて、その部分の難しさは今でも感じています。

金夛:プロジェクトを進めながら、私たち自身も勉強していく、そのあたりは難しいですが、新鮮なところでもあります。

 また、クリエーターの方が学生だったので、そこに大変気を遣いました。学生には就職活動もありますし、普段の授業や課題もある。限られた時間の中での取り組みになりました。それ以上に気遣ったのは、学生クリエーターの皆さんの将来ですね。

 クラウドファンディングは資金が集まる、集まらないで白黒がはっきりついてしまいます。ビジネスであれば、今回は投資家の方が投資したい内容に合致しなかった、とかタイミングが悪かったなどいろいろと理由が挙げられますが、学生クリエーターの方に対しては、そうしたことが全部言い訳になってしまいそうで、言えないと思いました。単純にビジネスでは切り分けられない部分があって、そこが一番大変でしたね。

増島:あとは、契約書や著作権といった契約関連ですね。

金夛:学生の方にとってははじめての経験でしたので、かなり戸惑っていました。その辺りはHAL大阪の先生方にバックアップしていただきました。

--学生の方にとってはビジネスにリアルに接することができる貴重な体験ですね。

増島:先生方にもそのあたりは大変評価いただけました。また就職活動中のクリエーターが「エントリーシートに(クラウドファンディングの案件を)書いてもいいか」と聞いてくれて、そうした彼らの“売り”になれることもうれしかったですね。もう「バンバン書いて」と答えました(笑)。

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