米国Orbotixが開発した、スマートフォンやタブレットで操作できるロボティックボール「Sphero 2.0(スフィロ)」をご存じだろうか。国内では2013年9月から販売されているスマートトイだ。
Sphero 2.0は、明るく輝きながら秒速2mのスピードで転がるボール型のロボットで、Bluetoothでスマートフォンなどと接続し、30mまでの距離をコントロールできる。ポリカーボネート製の頑丈なシェルを採用し、水の上を進ませることも可能だ。駆動時間は、3時間の充電で1時間以上。iOSとAndroidに対応する。主なゲームアプリは「Sphero(iOS/Android)」、ARの技術を使って3Dキャラクタを散歩できる「Sharky The Beaver(iOS)」など35本以上という。
そんなSphero 2.0を体験できるスペースが、東京ドームシティの宇宙ミュージアム「TeNQ(テンキュー)」内に登場する。7月8日にオープン予定だ。
TeNQは、宇宙をより身近に楽しめるよう構成されており、9つのエリアに分かれる。Sphero 2.0が体験できるのは、そのうちの1つ「イマジネーションエリア」の「アストロボール」コーナーだ。イマジネーションエリアは、想像力豊かに宇宙を楽しめるよう、参加性や操作性のあるゲーム、アート、映像などが設置されている。
アストロボールには、5台ずつ計10台のSpheroが設置されている。1人1台を操作し、5人1チームとなって制限時間内に「訓練コース」をクリアすることで、バーチャルなロケットの打ち上げに挑戦するアトラクションだ。
5人のうち1人でもクリアできればロケットを発射でき、クリアした人数によってロケットの大きさが増す。誰もクリアできなかった場合、ロケットは打ち上がらない。コースは、難易度の低い軽いカーブのものや、難易度が高いジグザグなどがある。ちなみに、筆者のチームは2度チャレンジし、誰もクリアできず、もう一つのチームは2度目で5人中2人が成功していた。何度か操作すれば慣れてくるといった印象だ。
今回のTeNQでのスペース設置を記念し、Spheroの共同開発者であるOrbotixのチーフソフトウェア開発責任者のアダム・ウィルソン氏が来日した。
ウィルソン氏はSpheroが採用された理由について、「見た目がスマートで惑星を想像させること。また、Spheroの姿勢制御が加速度計とジャイロによるもので、ロケットの慣性センサと仕組みが似ていることから宇宙開発とのつながりを感じられ、感覚的に操作できるのもポイントになった。このSpheroを使って自分で操作し、目標に向かって諦めず取り組むこと、皆で協力することで大きな達成を得られることも宇宙開発とつながる要素」と話す。
ウィルソン氏は、アメリカ航空宇宙局(NASA)のインターネット制御ロボットのプロジェクトに関わっていた経歴を持つ。自身は隣の家も遠い小さな街で生まれ、インターネットもなく育ったが、逆にそれが想像力を生み出すことにつながったと振り返る。日本のクリエイティブなもの、マリオやファイナルファンタジー、クロノ・トリガーなどに影響を受け、いつか「友達」のようなロボットを作りたいと思っていたという。
12歳のころにターミネーターをきっかけにロボットを作ったとき、目指していたのはフラクタルなもの。男でも女でもないものだったと振り返る。5年前にSpheroを作るきっかけになったのは、スマートフォンの台頭だ。これまでロボットといえば大きな筐体とリモコン、あるいはボイスコントロールといったものが主流だった中で、スマートフォンを使えばさまざまなものとつながる、結びつけるきっかけになると考えた。
なお、米国ではSpheroを通じた子ども向け教育プログラム「SPRK」をスタートしている。学校にSpheroを寄付し、子どもたちがデバイスに触れることで、地理や数学、科学を学ぶのに役立ててもらうという。
ウィルソン氏は、「Spheroで授業をしたことあるが、子どもたちがこれを見て覚えて、自分がゲームデザインや、エンジニア、プログラマ、エンジニアになったといって喜んでくれる瞬間にこの仕事をしていてよかったと思う。思うに、自分(ウィルソン氏)ができるなら誰でもできる。お金やリソースに恵まれていたわけでもなく、根気強くやってきただけ」とし、今後も教育に力をいれていきたいと語った。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス