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元教師が手がけたゲーム仕立ての算数ドリルアプリ「Zap Zap Fractions」

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 この連載では、シンガポール在住のライターが東南アジア域内で注目を集めるスタートアップ企業を現地で取材。企業の姿を通して、東南アジアにおけるIT市場の今を伝える。

 ここ数回は、アジアのスタートアップシーンを紹介するウェブメディア「Tech in Asia」が5月に開催したカンファレンス「Startup in Asia」で取材したスタートアップ企業を断続的に紹介している。

ゲームアプリのような「やみつき感」

 先日公開されたばかりの「Zap Zap Fractions」は、4~12歳の子どもを対象とした、iOS対応の算数の学習ドリルアプリだ。アクションゲーム仕立てのストーリーに従って習熟度を高めるのが特徴で、問題に正解することでかわいらしいエイリアンのキャラクタが次々と敵を倒していく。さまざまな問題を解くことで、ステージをクリアしていくというものだ。

  • 「Zap Zap Fractions」では問題に正解して敵を倒していく

 カンファレンスの出展ブースでいち早くデモ版を体験させてもらったが、キャラクタの動きや音楽などが、従来の学習用アプリにはあまり見られない、むしろ人気のゲームアプリで遊んでいるときに体感する「やみつき感」を巧く演出していた。これなら、小学生かそれよりも小さい子どもでも、飽きることなく学習を続けられるのではないかと感じた。

 開発元であるVisual Math StudiosのNg Wei Chong氏は、元教師。15歳の頃から自分よりも年下の子どもに算数を教え始め、それ以来何年も個別学習のチューターやシンガポールの学校で算数の教師として働いてきた。その後、エンジニアに転向し3年間開発業務に従事。グラフィックやアニメーションで従来の算数の学習を補えないかという思いから、2007年に起業に至った。

 Chong氏は「教育とは、授業に出席し、教科書を丸暗記するだけではない。子どもたちは家から出て、いろいろな世界を見聞きし、自分自身を世界にさらす。そして自分が情熱を注げるものを見つけ、取り組めるようにならなければいけない。私は、彼らがすばやく学ぶことで教科書からいち早く解放され、人生を開拓することに多くの時間を費やせるようになってほしい」と思いを語る。

  • プレイ終了後に復習する場面

 アプリの見どころは3つあるという。1つめは、冒頭でも紹介したインタラクティブなビジュアライゼーション。ちなみに、Chong氏が紹介してくれた3M Corporationが行った研究によれば、ビジュアライゼーションが学習効果を4倍向上してくれるという成果が証明されたそうだ。

 2つめは、ゲーミフィケーションの機能。問題への解答とアクションゲームのストーリーの連動が非常に楽しい。この仕掛けが子どもたちのアプリの利用時間を延ばし、またエンゲージメントをもたらす。そして3つめが、復習の機能。プレイが終了すると、その回の重点箇所がかいつまんで紹介される。これによって知識が定着しやすくなる。

 さらに、学習の進捗状況や問題の解答など、子どものアプリ内の行動に関する情報は、管理者用のアプリと同期され閲覧できるため、教師や親はその情報を指導に活用することもできる。

アプリ内課金で収益化 まずは米国に注力

 アプリ公開後のビジネスモデルは、フリーミアムモデルを予定しているという。つまり、アプリのダウンロードや序盤のチャプタのプレイは無料だが、続くチャプタや一部のリッチなコンテンツなど、子どもたちのエンゲージメントをより高める機能についてはアプリ内課金を導入する。

  • 左から、Visual Math Studiosの共同創業者Ng Wei Chong氏、共同創業者兼デザイナーのAdam I-Ming氏、インターン生のNicholas Chong氏

 アプリは全世界に向けて公開されるが、主には米国でダウンロードされるものとChong氏は見ている。同社が以前実験的に開発し、今後Zap Zap Fractionsにアップデートされる「Fraction Basics」というアプリが14万以上のユーザーにダウンロードされたが、その多くが米国からだったためだ。公開後は、英語圏以外の国にも順にローカライズしていく。日本もその候補地の1つだという。

 全世界に向けて展開するにあたり、すでに多くの学習用アプリが各国に存在している。例えば東南アジアでは「Mathletics」などが競合にあたる。この点についてChong氏は、アプリの持つ楽しさや、タブレットやスマートフォンなど幅広いモバイル端末でシームレスに利用できることに注力し、競争に勝っていきたい考えだ。公開から1年以内に全世界で30校以上の導入、30万以上のユーザー数を目指す。

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