ソフトバンクは6月11日、グループ会社のアスラテックを通じ、ロボットソフトウェア事業に本格参入すると発表した。汎用性の高いロボット制御ソフト「V-Sido OS(ブシドー オーエス)」の提供とロボット開発支援を開始する。同日の発表会見時には、V-Sido OSの機能や動作などを確認できるコンセプトロボット「ASRA C1(アスラ シーワン)」を披露した。
V-Sido OSは、ロボットの動きを制御するための基本ソフト(OS)。リアルタイムにロボットの動きを生成でき、急な衝撃を受けたときや不安定な足場でも倒れにくい安定性を実現する。また、スマートフォンなどの入力デバイスから指示を出すことで、必要な情報をロボットに補完させて動かすこともできる。大きさや形状、用途を問わず、さまざまなロボットを制御でき、開発コストの削減や開発期間の大幅な短縮が可能になるとしている。
V-Sido OSで実現する一部の機能や性能を実装したマイコンボード「V-Sido CONNECT(ブシドー コネクト)」を年内に発売する予定だ。価格は未定だが、1万円以下での提供を目指す。企業だけでなく、自作ロボットの制御ボードとして、ホビーロボットのユーザーもターゲットに据えるという。
V-Sidoを開発したアスラテックのチーフロボットクリエイターである吉崎航氏は、「V-Sidoは従来のロボット用のマイコンとは違う、運動神経の部分のみを抜き出したもの」と説明する。なお吉崎氏によれば、ソフトバンクが6月5日に発表した人型ロボット「Pepper(ペッパー)」にもV-Sidoの機能の一部が実装されており、今後、「たとえばKinectで遠隔操縦がしたい時や、離れた場所にいる人に会いたい時などに、V-Sidoにシームレスにつなげることが可能になる」という。
アスラテック事業企画本部の羽田卓生氏は、ロボット市場の立ち上がりを「2020年頃」と予測しており、そのタイミングでV-Sidoを活用しているロボットが最も多い状態をつくりたいと語る。ただし、シェア50%以上を目指すのかという問いには「ナンバーワンを目指す」とし、具体的な数値は明かさなかった。
アスラテックの同事業での収益は、V-Sido CONNECTの販売売上と、V-Sido OSを使った製品の売上から得る。羽田氏はその後者が今後の主要な収益源になると見ており、「メーカーにV-Sido OSを供給し、その売上の一部をロイヤリティとして得ることを考えている」と話した。
コンセプトモデルのASRA C1は、今回発表されたV-Sido OSとV-Sido CONNECTで制御されている。今後、アスラテックが参加するロボット関連のイベントや発表会などに登場するそうだ。
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