Evernoteと品川女子学院高校は5月26日、学内イベント「品女×Evernote 新しい授業で起業マインドを養う」を開催し、来日した米国Evernote CEOのフィル・リービン氏が同校の2年生約200人に向けて特別講演を行った。
講演では、高校生を対象に自身の学生時代のエピソードを紹介しながら、起業しビジネスを生み出すための3つの教訓を披露した。
ひとつめは、自分自身より優れた能力をもった人間がいる厳しい環境で、自分を高め続けることだという。自分よりも優れたスキルや知見を持った人に追いつこうと挑戦し続けることが自身の成長に繋がり、幸せだと考えられるというのだ。
「自分よりも面白く、自分よりも賢く優れた人たちが周りにいることが、自分自身が走り続けるモチベーションになる」とリービン氏は語る。Evernoteでもリービン氏は“ジェネラリスト”であり、社内には同氏よりも優れたスペシャリストたちがサービスを支えているという。「自分の周りの人たちはとても優れた人間で、良い仕事をしてくれる。それが経営者としての誇りだ」(リービン氏)。
ふたつめに挙げたのが、友人、知人を大切にすることだ。Evernoteの共同設立者やボードメンバーにはリービン氏にとって学生時代、会社員時代から付き合いのある旧知の仲と言える人が多く、こうした人生で得られた仲を大切にすることが重要だという。「自分が大きなことにチャレンジするうえで一緒にやっていくことができるパートナーになるような人が仲間にいることが大事だ。君たちにとっての友人を生涯にわたって大切にしてほしい」とリービン氏は生徒たちに語りかけた。
最後に挙げたのが、リービン氏のマーケティングに対する考え方だ。同氏は、Evernote誕生にあたり自分自身が欲しいと思える製品、満足できる製品を作ろうとしたのだという。自分自身を「何が良いか」のものさしにすることがEvernoteというイノベーションを生み出した原点だったのだそうだ。「自分自身のために何かを創り出す、自分の大好きなことに挑戦することが大切だ」とリービン氏。
では、具体的にどのように起業のアイデアを生み出すのか。リービン氏は、日常で実践できるマーケティングのトレーニング法を紹介した。「自分自身の1日の行動や、友人の行動、親の様子を観察してほしい。そして、いつも繰り返しやっていることで、面倒だと仕方なくやっていることを見つけてみよう。その仕方なくやっていることをより良くできるアイデアがあれば、それは世の中を変える素晴らしいアイデアのきっかけになるはずだ」(リービン氏)。
世の中の課題を発見し、それを改善するソリューションを生み出すというマーケティングの基本を日常生活で実践する考え方だ。「企業はゼロからアイデアを生み出し成功したと思われがちだが、実はそういう例はめったにないし、そんな天才的な経営者はいない。素晴らしいアイデアを生み出す方法は、とてもシンプルだ」とリービン氏は語った。
イベントではそのほか、同校教諭による課題発見・解決能力を養う模擬授業や、同校の教育方針に関するプレゼンテーションなどが行われた。模擬授業では、参加した生徒からEvernoteによる情報共有や学習への活用に関するアイデアも挙がった。「EvernoteにもFacebookのような“いいね!”機能があれば、情報共有がもっと楽しくなるのでは」「Evernoteに保存した教材の資料にメモを残したときに、書いたメモをレイヤー化して自由に非表示にできる機能が欲しい」といった意見にはリービン氏も関心したようで、「さっそく開発チームにメールして検討を指示した」と応えていた。
なお、品川女子学院高校は起業マインドを持つ女性リーダーを育成することを目的とした「起業体験プログラム」を実施したり、生徒にiPadを配布して学習に活用するなどICTの導入に積極的で、文部科学省の「スーパーグローバルハイスクール」の認定も受けている。同日には、2年生全員を対象に「Evernote Business」の導入を発表。クラス内の連絡事項や授業内容を補助する資料、教諭による解説動画の共有などに活用することで、教諭・生徒の知識やノウハウを共有財産として集約していきたいとしている。
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