一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)は5月21日、定例の年次記者会見を開催した。2013年度の音楽使用料の徴収額は1108億4000万円(前年比0.9%減)で、2012年以降、CD生産実績が上向いていたオーディオディスクが再び減少に転じた一方、2009年から減収傾向が続いていたインタラクティブ配信が、スマートフォン向けビデオオンデマンドや定額聴き放題サービスの好調で前年を大きく上回った。
アジア地域からの入金も順調に推移し、2013年度は初めて入金額が1億円を突破。韓国や中国からの入金額の増加が主な要因で、韓国は香港を超えてアジア地域でトップとなったほか、中国からの入金額は初めて1000万円を突破した。傾向としては「放送、DVDなどでの音楽利用のほか、カラオケなど演奏系も増えている」(小原正幸常務理事)という。
同日、記者からの質問が殺到したのは、2月にゴーストライターによる代作が発覚したことで話題を集めた佐村河内守氏に関する内容。JASRACによれば、一部報道で伝えられている共作などの届け出を含め「佐村河内氏からの具体的な提示はない」とし、あくまで全体を整理しつつ、JASRACとの信託契約などについて、佐村河内氏側からの詳細提示を待っている段階と説明した。
なお、JASRACは現在、佐村河内氏への著作権使用料の分配を凍結。ソチ五輪開催時期を含む1~3月期の分配(6月)もこのまま凍結となる見通しで、4月以降は佐村河内氏が関わった楽曲への許諾もしていない。実際の作曲者とされる新垣隆氏がJASRACに管理委託などを行ったことがなく、直接的な接点がないことも課題の解消に向けた大きな壁となっており、JASRACとしては慎重に経緯を見守る姿勢を見せている。
前年度に著作権分配額の多かった楽曲を表彰する「JASRAC賞」は、ゴールデンボンバーの「女々しくて」が初の金賞を受賞。カラオケで51週連続1位を獲得するなどインタラクティブ配信で好調に推移し、AKB48の「ヘビーローテーション」の3連覇を阻んだ。
惜しくも3年連続での金賞受賞を逃したヘビーローテーションは銀賞を受賞。銅賞は、1999年に金賞を受賞して以来、14年ぶりのランクインとなるEvery Little Thingの「Time goes by」が受賞した。そのほか、海外からの入金が最も多かった国内作品に贈られる国際賞は「NARUTO -ナルト- 疾風伝BGM」が2年連続で受賞、外国作品賞はビートルズの名曲「HEY JUDE」が受賞した。
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