今回登場した顔ぶれの中で、ニューフェイスといえるのが「Shenma」だ。同社はモバイルブラウザのUCWebとAlibabaの出資を受けた合弁企業で、4月にモバイル検索「Shenma(sm.cn)」を正式ローンチした。モバイルアプリ、ショッピング、電子書籍、Alibaba製品などさまざまな検索が可能なサービスだ。ShenmaはGMIC会場の中で目立つ場所にブースを構えて売り込んでいたほか、会場外でもマスコット動物を登場させて来場者にアピールしていた。
Shenmaのローンチは、モバイルインターネットの覇権争いに大きな影響を与えそうだ――UC Webは5億人のユーザーを擁し、「シェア5割」を自称するモバイルウェブブラウザだ。検索大手Baiduのモバイルサイトの3割以上のトラフィックがUC Webからといわれている(Baiduは過去にUCWeb買収を試みたといううわさもある)。そのUCWebがモバイル検索をスタートするのだ――。UCWebがAlibabaと組んで開始するShenmaはBaiduに正面から対抗するサービスとなり、力関係を変えるものとなりそうだ。
2014年に10周年を迎えたUCWebのCEOであるYu Youngfu氏は、開始後数週間足らずであるにも関わらず「モバイル検索ですでに2割のシェアをとった」とアグレッシブにShenmaを売り込む。そして、「Baiduのクレイジーな動き」として、Baiduが検索結果を操作したとも主張する。5月1日にShenmaがランキングから削除されたことを不審に思い問い合わせたところ、数日後にランキングに復活したというのだ。BaiduはShenmaの検索結果からのトラフィックをモニタリングし、ユーザーに対し“認識されない検索エンジンを利用している”として自社への乗り換えを促すメッセージを掲示していたという。
そもそも、なぜモバイル検索をスタートしたのか――これについてYu氏は「PCとモバイルがマージしている」とトレンドを語る。そんな中、PCで強かった企業が苦戦していると言うのだ。例としてプロセッサのIntel、OSのMicrosoftなどを挙げ、「BaiduはPCの検索エンジン。モバイル検索ではリーダーはいない」とYu氏は言う。同時に、モバイル検索は画面の広いPCが採用してきた広告モデルとは異なるビジネスモデルになるだろうとし、自社がリーダーとして積極的に模索していく意向を示した。
Shenmaは2014年にユーザー2億人を目標としているという。中国だけでなく、インドなど国外展開の計画もあるとのことだ。
中国のモバイルといえば、2014年に入り主要キャリアが開始した4Gが目下の話題だ。中国のインターネット企業や学術団体が参加する非営利団体である中国インターネット協会で会長を務めるWu Hequan氏は早くも、「2020年には5G時代に」と展望し、モバイルがインターネットの主流になるためにネットワーク側が進展を遂げていることを認めた。
2014年末にはモバイルインターネットの利用者は8億人を上回るとの予想を立てているという。2013年末は6億1000万人だったことから、4Gにさらなる成長を期待しているようだ。「中国はモバイルインターネットの大国になる」と同協会の事務総長Lu Wei氏。
モバイルインターネットが経済活性化にも大きく寄与すると見ており、その例として「PCとは異なり次々とうまれるモバイルアプリ」を取り上げた。数あるカテゴリの中でも、ヘルスケア、モバイル決済への期待を示した。Wu氏らは言及しなかったが、イベント中、モバイルバンキングの話題も耳にした。通常の銀行よりも高い利子が受けられるとして人気というが、今後政府の介入が入るかなどが注目されている。
中国のモバイルデータは今後年61%のペースで増加するなどの見通しを示している。Lu氏は増える攻撃行為にも触れ、モバイルインターネットの開発と同時にセキュリティ側の開発も重要であることを強調した。
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