IIJがクラウド事業でシンガポールに進出--ASEAN統合のメリットとは

 インターネットイニシアティブ(IIJ)が、シンガポールでクラウドサービス「IIJ GIO Singaporeサービス」の提供を開始した。IIJが日本国内で提供している「IIJ GIO サービス」で培ってきたクラウドサービスの運用ノウハウを活用し、シンガポールでも日本と同様の高品質なサーバ環境を提供するものである。

  • 発表会で行われた鏡開きの様子。駐シンガポール日本国大使の竹内春久氏も出席した

 同社ではサービスの提供に先立ち、2013年12月にシンガポールのパヤレバ地区にデータセンターを開設。このデータセンターとIIJ GIO Singaporeサービスを組み合わせることで、顧客企業がクラウドと自社で用意した設備で、ソフトウェアなどを導入するオンプレミスをハイブリッドで利用できるようにした。

 同時に、IIJのバックボーンネットワークをシンガポールと香港に延伸し、日本とASEAN地域の接続性を向上。これにより、日本、英語、米国、アジアの世界一周を大容量回線でつなぐことを実現し、グローバルに展開する顧客企業を支援するサービスを拡充した。また、シンガポール現地法人 IIJ Global Solutions Singaporeと連携し、現地の要望に応える体制も強化した。

 IIJ GIO Singaporeサービスの提供開始に際して開かれた発表会で、IIJグローバル化事業本部の清水博部長と大導寺牧子プロジェクトマネージャに話を聞くことができた。

ASEANクラウド統合のメリット

 IIJはこれまで、顧客企業が進出する世界の主要な国と地域をカバレッジする戦略をとってきた。クラウドサービスに関していえば、2012年に米国の西海岸、2013年に中国と欧州、米国の東海岸、そして2014年にシンガポールでサービスを開始した。

 同社は、ASEAN地域は生産拠点としてだけではなく、成長を続ける新興市場としても重要であり、企業は域内のITシステムを統合することにより経営の効率化を図れると考えている。

 その理由は、各国にITサポート要因を置くと人員ばかりが増えてしまい、各国間でコストや作業が重複する、この地域ならでは課題があるからだ。加えて、各国に置かれたサーバ環境は、それぞれ運用方法が異なり標準化されていないため、構成、運用、設定、ルールなどが統一されていないことが多く、柔軟なビジネス対応が容易ではないという。

  • 日本で提供する「IIJ GIO サービス」のラインアップ

 こうした課題に対してクラウドで統合することにより、システムや運用のブラックボックス化を防ぎ各国のシステムの“見える化”を実現。また、各国のビジネス稼働量の平準化や、季節要因による必要な拠点への支援などによって、全体としてサーバ運用費用削減のコストメリットが享受できたり、ITスタッフの重複作業を回避できたりするという。

 IIJは、その統合の拠点としてシンガポールを推す。その理由として、同国はASEAN地域の中でも安定した電力供給や通信環境に恵まれており、日本との高速な通信も可能なため、日本企業の東南アジアにおけるIT拠点として最適だという。また、地域統括会社にとって重要なサービスを提供する企業や、オリジナルな製品・技術を開発し得る企業に対して、政府による資金援助や税インセンティブなどの措置が実施されていることも挙げる。

 さらに、同国は自然災害が少ないため、統合の拠点としてだけでなく日本や域内の各国のバックアップ拠点としての役割も担う。同社は中国や香港でもサービスを展開しているため、日本との間で二重化されたバックボーンを敷くことも可能だ。

 そんなシンガポールにも課題はある。オフィスや人件費が高騰傾向にあるためIT費用のコストが増大していたり、離職率が13~15%(日本の倍の水準)と高くITスタッフの採用が困難なため、人員計画が難しい。しかし、前述のような理由からASEAN地域の統合拠点としては優れており、こうした課題こそ必要なリソースを必要なタイミングで調達できるクラウドのメリットで解決していくべきだと考えている。

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