ラスベガス発--他の「革新的な」技術と同様、クラウドコンピューティングをめぐる冷めることのない熱狂は、より実用面での課題、すなわち価格、セキュリティ、統合の容易性に取って代わられている。インフラストラクチャやソフトウェアのプロバイダーによるエコシステムは、顧客の最も即時的なニーズと関心に応えるため、サービス改良にしのぎを削っている。
Interop Las Vegasのパネルディスカッションの中で、クラウド評論家の間で支配的だった見方は次のようなものだ。すなわち、クラウドを利用したアプリ配信、データセンターコストの削減、データ保管といった利点に加え、とりわけ業務にビッグデータの分析力を広く適用する利点について、法人顧客から高い評価があるのは明らかだが、一部の最高情報責任者(CIO)には様子見の姿勢が依然としてみられ、それがクラウドの完全採用へと向かわせないようにしているという見方だ。
クラウドは、そのあらゆる期待と可能性にもかかわらず、どちらかといえば未成熟な市場のままだ。GoogleやAmazonといった大手企業はいずれも、この2週間にオンデマンド価格を値下げしており、インフラプロバイダーは価格やサービスのさまざまなオプションを通じて一流企業の顧客を囲い込もうと先を争っている。サービスの内容や価格によるこうした選別は、まさに一部のCIOを傍観者に留める類のものだ。
Clouderaの最高技術責任者(CTO)を務めるAmr Awadallah氏は、「クラウドは、5年ほどの間にオンプレミスより安価な手段になる。将来、もっと安くなることは間違いないが、現在のところ、まだ安くはなっていない」と述べた。
Oracleでエンジニアードシステム担当バイスプレジデントを務めるJohn Rayman氏は、金融サービス業界では、データを管理、保存、共有する上でクラウドコンピューティングが今日最も安い手段ではないとCIOやCTOらは知りながら、その多くがクラウドの人気に乗ろうとしていると述べた。クラウド本来の柔軟性や機動性は、今後の低コスト化や競争上の大きな優位性において成果を生み出すと確信している、というのがその理由だ。
また、価格、統合、可用性、セキュリティといった問題も、クラウドプロバイダーと法人顧客との契約によって複雑化している。Rayman氏によると、理想的な形態とは、双方に柔軟性をもたらすものであり、これは誰もが解決しようと「必死に取り組んでいる」課題だという。
ディスカッションに参加したパネリスト全員が、当面はハイブリッドクラウドが支配的なモデルとなるという点で意見が一致した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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