2013年にEdward Snowden氏が報道関係者に暴露した、米国家安全保障局(NSA)の機密文書に基づく新たな報道によると、英国の諜報機関である政府通信本部(Government Communications Headquarters:GCHQ)がドイツのインターネット企業にスパイ行為を行っていたという。同報道はさらに、Angela Merkel独首相を監視するNSAの取り組みについてもさらなる情報を伝えている。
この報道は、独誌Der Spiegelが掲載したもので、リークされた一部文書を引用して、英国のGCHQが「ドイツの主要な衛星IPサービスプロバイダーに関する専門知識を深める」ことを模索していたとしている。同誌の言葉を借りると、GCHQは「ドイツを経由するインターネットトラフィックに関する知識の幅を広げること」を目論んでいたという。
対象となった企業には、Stellarなどが含まれる。同社は地上局および専用の衛星通信容量を利用して、難民キャンプ、石油掘削プラットホーム、および企業や国際機関の海外支局などの遠隔地向けにインターネットや電話サービスを提供している。
GCHQは、インターネットトラフィックの監視に関心を持っていただけではない。Der Spiegelの記事によると、GCHQは「ドイツの通信ネットワークプロバイダーの重要顧客や、提携する技術サプライヤー、さらにはそれらの事業分野における将来的な技術動向を見極める」ことも望んでいたという。また、GCHQは企業の従業員、特に技術者を監視の対象にしていたという。
同記事ではさらに、NSAが「重要度の高い対象者について収集した情報をマシンで自動管理」していたと説明するとともに、Snowden氏提供の文書の一部に言及し、「Nymrod」という自動名前認識システムにより、Merkel首相に対する約300件の引用集が生成されたとしている。
これらの文書には、1年前にNSAのSpecial Sources Operations部門(光ファイバケーブルや他のインターネットバックボーン構造へのアクセスを確保する業務を担当する部門)が作成した報告書も含まれているようだ。この報告書には、米国時間2013年3月7日に米外国情報活動監視裁判所(FISC)がNSAに対し、「ドイツ」を監視する権限を認めたことが示されている。
Der Spiegelの記事は、NSAとその協力機関がその権力を行使して、(これらの機関はいずれも否定しているが)経済スパイを働いたのかどうかという疑問を再び提起するものだ。さらに、米国企業に対する海外からの評価(や収益)に新たな汚点を加える可能性もあり、一部の人々は、これらの企業がNSAから恩義を受けたのではないかと懸念している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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