退屈な日々は、ゆっくりと過ぎていくのに、楽しみにしていた旅行は、あっという間にすぎてしまう。ほんの3カ月くらい前のことだと思っていたのに、もう1年も経ってしまった。そんな感覚を誰しも味わったことがあるはずだ。一体どうして時間の長さの感じ方は、こうもたやすく変化するのだろうか。この時間感覚の変化について、多数の実験結果やデータと共に分析しているのが本書だ。
正常な時間感覚というものが、自分の行動や考えにいかに影響を及ぼすものか、普段は特くに気にすることはないかもしれない。しかしながら人はまったく時間が分からない環境に閉じ込められると、何を基準に行動すれば良いか分からなくなり、終わりの見えない時間に押しつぶされそうになる。
または、今にも死ぬかもしれないほどの恐怖を味わっている瞬間は、ほんの数秒のことでも数分以上に感じて、普段はしない行動を一瞬でできたりもする。こうした事例は枚挙に暇がないが、人の時間感覚は、体温によっても変わるのだという。さすがにこれを実感している人は少ないだろう。
時間の長さの感じ方がどういう場合に変化するのかを知ることによって、時間の長さを感じる心と体の関係を理解できるだろう。そしてこれは、思考する時間を変えたり、計画に役立てたりすることができるだけでなく、うつ病などの病に対する理解を深めることもできるのだ。時間に対する不思議な感覚について知りたい人は、ぜひ本書を手にとってほしい。
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