NTTドコモ・ベンチャーズは3月26日、インキュベーションプログラム「ドコモ・イノベーションビレッジ」の第2期 DemoDayを開催した。2013年2月に発足したドコモ・イノベーションビレッジでは、ドコモのグループ社員や起業家、ベンチャーキャピタル(VC)といった社外メンターによるメンタリング、社債引受による200万の資金提供などを通じた起業支援プログラムを展開している。第2期は2013年11月~2014年3月までの約4カ月間のプログラムだ。
DemoDayでは冒頭にNTTドコモ・ベンチャーズ代表取締役社長の吉澤和弘氏が挨拶し、「プログラム中の4カ月間、ほとんど住み込みで取り組んでいたり、毎週地方から東京に足を運ぶスタートアップがいて熱い思いを感じた。今日のDemo Dayを一つの節目として、新しく羽ばたいてもらいたい」と語った。
選考に通過し、約4カ月のプログラムを経験した6チームとそのサービスを紹介しよう。
forEstが提供する「ATLS」は、市販されている問題集をデジタルアーカイブ化して、個人の学習データを蓄積させるサービスだ。ユーザーは、タブレットで問題集を選択して従来と同じように紙とペンで解答。サービスでは解答の有無やどれくらい時間がかかったかなどのデータを蓄積して、学習履歴から類似問題や苦手とする問題をレコメンドすることで、効率的な学習を提供する。すでに、啓林館や中経出版などの出版社とも交渉しており、いくつかの高校で導入予定だという。集めたビックデータを活用して、高校受験だけでなく中学受験や社会人向けなどの問題集にも広げていく予定。
「えがおの本」は電子アルバムサービスだ。卒業アルバムをアプリ化し、いつでも閲覧できる。また、フォトブックサービスも提供しており、アプリ内で選んだ写真をもとにアルバムを作れる。学校単位での導入を進めており、同アプリによって保護者が写真を選ぶ手間が省けるとしている。今後は、写真事業者や卒業アルバム事業者と提携して、全国の幼稚園や小学校にも導入していくほか、電子動画アルバムや個人向け電子アルバムのアプリも提供する予定だ。
「スポとも」は、スポーツに特化した動画共有アプリで、スポーツのフォームを分析するチェック機能を搭載している。元プロ野球選手など専門家から指導を受けられる有料サービスを4月に開始する予定で、教わりたい人と教えたい人をマッチングしていくという。すでに複数の元プロ野球選手や球団と具体的な話を進めており、引退した選手のセカンドキャリアのサポートを見据えている。野球だけでなくゴルフやダンスなど他のスポーツへの展開も予定しており、蓄積されたデータをもとにしたコーチングビジネスも検討しているという。
「Pozica」は、店舗における現場コミュニケーションの“見える化”を図り、従業員の満足度を高めるためのサービス。多くのサービス業で導入されているコミュニケーションツールの「サンクスカード」をウェブ化し、従業員同士のちょっとした挨拶や感謝の気持ちを送ることができる。職場のコミュニケーションを改善するだけではなく、売上向上につながる施策を見出したり、リーダー候補となるスタッフの発掘などに役立てたりすることができるという。すでに美容業界など複数企業にベータ版を導入しており、4月からの正式リリースを経て本格的に事業を展開していく。
「me:new」は、ユーザーの好みや栄養を考えて、一週間の献立を自動作成してくれるサービスだ。献立が自動で作成されるため、レシピを探す必要がないという。簡単な時短料理を中心に献立は構成され、レシピに必要な買い物リストも自動で作ってくれるため、買い物時間の効率化を図れるとしている。3年後に800万ユーザーを目指しており、将来的には有料会員や食品宅配、広告事業やヘルスヘア事業も展開する予定。
「WonderBee」は、ガジェット情報に特化したSNSだ。ユーザー同士が交流し、商品に関する情報を共有できる。ガジェットごとのコミュニティを作成でき、気になる商品をフォローすることで、発売日や商品に関するニュースといった最新情報を取得できる。すでに100以上のコミュニティが作られており、今後はアフィリエイトや広告事業、EC事業、メーカー公式ページなどの運用をもとにマネタイズを図っていくという。
イベントでは、ドコモ・イノベーションビレッジのメンターを中心とした審査員による投票によって、グランプリやベスト・ストレッチ賞などが選ばれた。グランプリには「me:new」を提供するミーニューが、ベスト・ストレッチ賞には 「ATLS」を提供するforEstがそれぞれ選ばれた。
同日は、NTTドコモ・ベンチャーズ取締役副社長の秋元信行氏によって、第3期プログラムの詳細も明かされた。第3期は、3月26日~5月8日までチームを募集し、6月からプログラムを開始する。プログラム前半の1カ月間に集中して開発のブラッシュアップをする期間である「Village Boot Camp」を設けるなど、新たな取り組みも予定しているという。
「パートナーブースト企業を拡大し、新株予約権付き債権額を上限500万円に設定した。ぜひ、ドコモを使い倒すスタートアップを待っている」(秋元氏)。
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