「震災から3年も過ぎると人々の思いも薄れてくるが、一方で心の中では何とかしたいという思いもある。でもどうしたらいいか分からないという人たちに対して、技術でもっと簡単に、継続的に募金できるようにしたい」――ソフトバンクモバイルは3月5日、街頭のポスターや商品のロゴにスマートフォンをかざすだけで、その場で募金できるプラットフォーム「かざして募金」の提供を開始した。まずはAndroidアプリを提供し、夏にはiOSアプリも提供する予定。
かざして募金は、参加する非営利団体が登録したロゴや文字、ポスターなどの画像を無料のスマートフォンアプリで読み取り、各団体の募金サイトにアクセスして寄付ができるプラットフォーム。ユーザーは、100円、500円、1000円、3000円、5000円、1万円の6つの設定金額から寄付金額を選択する。また毎月継続して寄付することも可能。ソフトバンクのスマートフォンであれば月々の携帯電話料金と一緒に支払えるほか、NTTドコモやKDDIのスマートフォンでもクレジットカードで決済できる。
かざして募金には、事前審査を通過すればすべての非営利団体が参加できる。料金は基本料が月額1980円(税別)、使用料が税別寄付金の1.8%で、ソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏によれば「ほぼ実費のみで、ソフトバンク側では一切利益を生み出さない」という。3月5日時点で、あしなが育英会や世界自然保護基金ジャパン、スペシャルオリンピックス日本など37団体が参加している。今後は1000団体以上が参加し、募金額が月に1億円を超えるプラットフォームを目指すとしている。
孫氏は震災後の2011年7月11日に、ソフトバンクホークス名誉会長の王貞治さん、アイドルグループ「SMAP」の中居正広さんらとともに東日本大震災復興支援財団を発足。また、被災地の支援活動に毎月寄付ができる料金オプション「チャリティホワイト」などを提供してきた。チャリティホワイトは、顧客が基本使用料に10円、ソフトバンクモバイルが10円の計20円を復興活動に毎月寄付するオプションで、これまでに185万件以上の寄付実績があり、募金額は4億3000万円にのぼるそうだ。
かざして募金はこうした取り組みの一環となる。孫氏は「欧米に比べて日本では一般的な寄付が割と少ないんじゃないかと思う。でも、人を思いやる気持ちやおもてなしの気持ちは逆に日本人の特性でもある。いままでは募金してもちゃんと届けたい人々に届くのか分からない、またはコストがかかるといった問題があった。テクノロジでそういう問題を解決できるのであれば、もっと日本人の優しさや思いが仕組みとして社会的に広がるのではないか」と思いを語った。
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