セキュリティ関連ソフトメーカー各社からもコメントが寄せられた。
トレンドマイクロ 取締役副社長 大三川彰彦氏は「サポート終了後のOSは、攻撃者が狙いやすい環境、情報を盗みやすい環境、そして効果的に狙える環境が整っている。“私は関係ない”という個人ユーザーもいるが、個人ユーザーのPCを踏み台にして政府を攻撃するといったことも起こり得る。すべての個人ユーザー、企業ユーザーが関係するものである。サポート終了後のOSは“ウイルスバスターを使えば大丈夫”ということではない。どうしても利用しなくてはならない場合には、使う用途を限定する、オフラインで使うといったことで対応しながら新たな環境に移行してもらいたい」とコメントした。
マカフィー サイバー戦略室 グローバル・ガバメント・リレイションズ室長 本橋裕次氏は「1月は過去最悪のセキュリティ被害が発生している。セキュリティソフトウェアは、自動車のシートベルトと同じであり、適切に使用すればリスクを軽減できるが、間違って装着すれば危険である。セキュリティソフトのリアルタイムスキャンだけでなく、ぜひとも、ハードディスクのフルタイムスキャンをやってもらいたい。ここでウイルスが発見できる場合もある。1週間に1回はパターンファイルが最新のになっているか、OSは最新の環境になっているのか、スケジュールスキャンは実行しているのかということを確認してほしい。Windows XPを搭載した古いPCを処分する場合には、ハードディスクを物理的に破壊してもらうのがいい。そこからの情報漏洩の対策ができる」と説明した。
シマンテック 執行役員 マーケティング統括本部 本部長 岩瀬晃氏は「標的型攻撃はここ数年増えているが、その対象の半分は従業員2500人以上の大企業である。従業員が250人以下の中小企業の比率は、2011年には18%だったものが、2012年には31%に増加している。増加している理由は、中小企業は自分たちが標的の対象になるとは思っていないため、対策が脆弱であることが挙げられる。攻撃側からみると、中小企業の取引先である大企業の情報を盗む狙いがあるからだ。中小企業にとっても、他人事ではないということを知り、最新のセキュリティ対策を施してほしい」と主張した。
カスペルスキー 代表取締役社長 川合林太郎氏は「日本の企業は、日本語という壁によって脅威から守られてきた経緯があるため、対策への意識が低いという背景があった。PCをひとつの家に見立てると、これまではシロアリ駆除や屋根の修繕をMicrosoftが行ってきたので万全だったが、(Windows XPサポート終了後は)これがなくなるのと同じこと。雨風が入り、シロアリが入った家には住めない。われわれは泥棒や押し売りなどを防ぐことはできるが、シロアリ駆除も雨漏りも治せない。セキュリティベンダーは、サポートし続けると言っているが、守れないのが現状である」と解説した。
FFRI 代表取締役社長 鵜飼裕司氏は「Windows XPの延命に対して、当社は“yarai”を提供しているが、これはリスクを軽減するだけのものである。パッチにはかなわない。今後、新たなOSの脆弱性が明らかになると、同様の脆弱性を持つWindows XPの脆弱性が狙われやすくなる」とした。
エフセキュア プロダクトマネージャー 富安洋介氏は「この10年で状況は大きく変わってきている。Microsoftの取り組みでセキュリティは強固になっているが、相手はサイバー犯罪のプロ集団に変わってきている。Windows XPは、攻撃者にとって攻撃しやすい格好の標的になる。サポートが終了する前に最新のOSに変えてもらいたい。それが間に合わない場合にも一刻も早く最新OSに変えることを考えてもらいたい」と語った。
日本マイクロソフトの加治佐氏は、「Windows XPを使用しているユーザーに対しては、最新のWindows 8.1への移行を強く推奨する。4月9日時点での移行が間に合わないユーザーは、セキュリティ対策をしっかり行い、すぐに移行計画の策定を進めて、早く移行してもらいたい。すべてのユーザーに対しては、常に最新の環境を保ち、継続的なセキュリティ対策を行うことで、安心安全なインターネット利用環境を実現してもらいたい」とした。
日本マイクロソフトでは、中小企業を対象にしたPC購入支援施策やWindows 8.1移行促進キャンペーンなどを実施している。2月14日からは、新たに個人ユーザー向けの新たな施策として、最新PC環境への移行に必要な情報をまとめた小冊子を全国の量販店3000店舗を通じて配布し、新たな環境への移行を促進する。サポート終了に関する特設サイトを公開しており、同サイトを通じてWindows XPからの移行に関する情報を提供している。
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