Lenovoの最高経営責任者(CEO)であるYang Yuanqing氏にとって、Motorolaは「宝」である。そしてその通りに扱われようとしている。
Yang氏は米国時間1月29日に行われた報道機関との電話会見で、「それはわれわれの宝である。Motorolaのブランドを守るだけでなく、さらに強化していく計画だ」と述べた。
Motorola買収のためにLenovoがGoogleに29億ドルを支払う予定であることを発表した後、Yang氏は遠い未来ではなく、少なくとも予見できる程度の近い未来に向けたMotorolaの事業計画のヒントとなる発言をした。Lenovoは必要に合わせて両方のブランドを運営していくと同氏は述べた。中国国内や、インドやロシアなどの新興市場では、Lenovoは引き続き独自ブランドの携帯電話を販売する。一方、Motorolaが既に地歩を固めている北米やラテンアメリカでは、Motorolaブランドを展開していく予定だ。
LenovoとMotorolaが1つになることで、LenovoはAppleやサムスンに十分対抗する機会が得られるとYang氏は自信をのぞかせた。同氏はLenovoのスマートフォンの年間出荷台数が最終的には1億台に達するとの予測を示した。これは現在の出荷台数の2倍超だ。
「1つになることでわれわれは弾みをつけて、利益性の高い成長を取り戻し、今後数年間でスマートフォン市場のリーダーたちに挑んでいくつもりだ。われわれは確かに、上位2社に挑むために必要なものを備えている」(Yang氏)
これは単なる根拠のないうぬぼれかもしれない。1足す1で2になったとしても、あるいはたとえ3になるとしても、合併後の会社がAppleやサムスンと同じレベルになるわけではないからだ。この2社はそれぞれが、先ほどの1足す1の例で言えば10くらいの規模である。
Strategy Analyticsによれば、Lenovoは世界のスマートフォン市場の4.7%を握っており、その大部分は中国でのビジネスによるものだという。Motorolaは上位5社にさえ入っておらず、「そのほか」のカテゴリーに分類されている。2社の市場シェアを合わせると6%で、世界のスマートフォン市場では第3位になる。
しかしこれに対して、サムスンはスマートフォン市場の3分の1近くを占め、Appleは17.6%を握っている。
2つのブランドを共存させる戦略の実行を決めたということは、Lenovoが2つの異なるマーケティング予算をやりくりし、2通りの消費者の期待に応えていくことを意味する。一方サムスンは、自社製品のマーケティングをいかに効果的に行うかという点では芸術の域に達しているし、Appleはいつもセンスが良く記憶に残るようなキャンペーンを展開している。どちらの企業にも共通するのは、ただ1つの統一されたメッセージに賢く資源を割り当てられるという点だ。
Motorolaは、従来強い基盤を持っている米国では第3位だが、NPDによれば第4四半期に同社のシェアは後退しているという。Lenovoは、Motorolaと同社が受け継いできた技術を高く評価しているが、Appleとサムスンが市場をさらに飲み込んでいく中で、同社は存在意義を失う瀬戸際に立たされていた。
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