この連載では、シンガポール在住のライターが東南アジア域内で注目を集めるスタートアップ企業を現地で取材。企業の姿を通して、東南アジアにおけるIT市場の今を伝える。
2013年から運動習慣をサポートするスマートフォン関連の製品やサービスの登場が目立つようになってきた。アプリでは、ナイキの「Nike Training Club」、プーマの「RUN NAVI」、アシックスの「MY ASICS」など。ウェアラブル端末では、ナイキの「NIKE+ FUELBAND SE」、アディダスの「miCoach SMART RUN」、セイコーエプソンの「リスタブルGPS」などが挙げられる。
1月に米ラスベガスで開かれた世界最大規模の家電イベント「CES 2014」では、メーカー各社が“ウェアラブル端末ブーム”を演出したことから、2014年はより一層、そうした製品やサービスが登場するものと思われる。
こうした状況がある中、シンガポール発のスタートアップ企業Lala Labsが、少しユニークな運動習慣サポートサービスを開始した。同社が提供するスマートフォンアプリ「Fulfilled」(iOS/Android)は、スマートフォンを介してパーソナルトレーナー、つまり生身の人間が運動に関するアドバイスをくれるサービスだ。
Fulfilledは有料のサービスで、月額39シンガポールドル(1シンガポールドルは約81円)。ウェブサイトで会員登録をすると、アプリをダウンロードできるApp StoreとGoogle PlayのURLが送られてくる。アプリをダウンロードしたら、まずは自分が1日に食べた食事の写真を詳細な説明文とともにアップロード。さらに、体重、ウエスト、ヒップの大きさを入力する。これが、トレーナーがユーザーを理解するための助けとなる。
1週間ほど食事の写真をアップロードし続けると、トレーナーとの最初の電話ミーティングが設定される。ここで、目標やそれを達成するために必要なエクササイズ、また運動を阻む要因、さらには健康的な食事の内容などが話し合われ、自分用にカスタマイズされた運動メニューが決められる。指導するトレーナーは、自身も以前肥満に悩み、エクササイズで改善した経験者。Fulfilledを運営するDionis Chiua氏もその一人だ。
運動を開始してからは、アプリや電話を通じてトレーナーが指導してくれる。アプリには投稿に対してLikeやコメントをする機能があり、運動の進捗状況や食事の内容についてトレーナーとやりとりができる。アンケート形式でヒアリングされることもあるようだ。さらに、サービスを利用する他のユーザーも自分の投稿に対して反応することができる。自分以外にも運動に励んでいる人が可視化されれば、ユーザーも勇気づけられるかもしれない。
運動習慣をサポートする製品やサービスは数あれど、「誰かに手伝ってもらう」という例はこれまでにあまりなかった。しかし「自分1人ならいつでも中断できてしまう」という三日坊主の本質を突いている気がする。月額39シンガポールドルは、あなたにとって高いだろうか、安いだろうか。
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