初代「iPhone」発表から7年--S・ジョブズ氏による発表を振り返る

Dan Farber (CNET News) 翻訳校正: 編集部2014年01月11日 10時52分

 今から7年前の米国時間2007年1月9日、Appleの最高経営責任者(CEO)を当時務めていた故Steve Jobs氏がサンフランシスコのモスコーンセンターの壇上に立ち、初代「iPhone」を披露した。Jobs氏はそこで、「今日、Appleは電話を再発明する」と宣言した。

 2年半の間、この日が来るのを待ち望んでいた。時として、革命的な製品が現れ、すべてを変えてしまう。Appleは・・・いや、何よりもまず、人が自分のキャリアにおいてそのような製品の1つにでも携わることができるなら、その人はとても幸運だろう。Appleはとても幸運だった。そのような製品のいくつかを世に送りだしてきたからだ。1984年、「Macintosh」を発表した。それは、Appleを変えただけではなく、コンピュータ業界全体を変えた。2001年、われわれは初代「iPod」を発表した。それは、われわれすべての音楽を聴く方法を変えただけでなく、音楽業界全体を変えた。そして今日、われわれは、このような革命的製品を3つ紹介する。1つ目は、タッチコントロール付きのワイドスクリーンiPod。2つ目は、革命的な携帯電話。そして3つ目が、画期的なインターネット通信デバイスだ。そう、3つだ。タッチコントロール付きのワイドスクリーンiPod、革命的な携帯電話、そして画期的なインターネット通信デバイス。iPod、電話、そしてインターネット通信デバイス。iPod、電話・・・お分かりだろうか。これらは3つの別々のデバイスではなく、1つのデバイスだ。われわれはこれを「iPhone」と呼ぶ。今日、Appleは電話を再発明する。それがこのiPhoneだ。いや、本当はここにあるのだが、今はこちらにしまっておくことにしよう。

 Jobs氏の話はでたらめではなかった。iPhoneはそれ以前のMacintoshやiPodと同じく、製品分野を定義し直した。iPhoneから始まったスマートフォン革命は、高性能のコンピュータを世界各地の何十億もの人々の手に届けてきた。

 Jobs氏は声明で、「iPhoneは、革命的で魔法のような製品だ。他の携帯電話のまさに5年先を行っている」と述べている。「われわれはみな、究極のポインティングデバイスを持って生まれてきた。それは、われわれの指だ。そして、iPhoneはわれわれの指先を使うことで、マウスの登場以来、最も革命的なユーザーインターフェースを作り出した」(Jobs氏)

 しかし、iPhoneが発売されたのは2007年6月29日になってからだ。1月9日の発表時、iPhoneは依然としてバグが残り、クラッシュしやすい状態だった。数日に及んだリハーサルの後もJobs氏は、障害やクラッシュを回避する策をあれこれ施した試作機のiPhoneをステージ上で使うという切羽詰まった状況だった。

初代iPhoneを発表するSteve Jobs氏
初代iPhoneを発表するSteve Jobs氏
提供:CNET

 Fred Vogelstein氏は自身の著書「Dogfight: How Apple and Google Went to War and Started a Revolution」で次のように記している。「2007年1月にiPhoneを発表するとの決断を下したときにJobs氏がとった賭けは、大げさに表現するのが難しいほどの大きさだった。Jobs氏は、新しいタイプの電話(Appleがそれまで作ったことのない製品だ)を披露しようとしていただけではなく、どうにか機能するレベルの試作機でそれをやろうとしていたからだ」

 しかし、Jobs氏はどうにかトラブルもなくこのデモをやってのけ、Appleのエンジニアらもその後数か月にわたって、致命的なバグをなんとかなくすことができたのだった。iPhoneは、発売開始後の3か月で140万台近くが売れた。Appleは、2013年9月28日を末日とする同社会計年度において、1億5000万台以上のiPhoneを世界中で販売し、売上高は900億ドルを上回った。

 数多く存在する良く出来た競合製品や、iPhone自体の世界的な市場シェアの減少にもかかわらず、米国のスマートフォン市場に占めるiPhoneのシェアは依然として40〜50%台であり、こうした成功の担い手となっているのが「iPhone 5s」だ。そして、カテゴリを定義し直す画期的な製品としてiPhoneに続いて登場した「iPad」は、市場で安定した地位を維持している。Appleが製品カテゴリの再発明を今後も続けていけるかどうかは、まだ分からない。だが、Jobs氏による2007年1月9日のiPhoneの発表は、コンピューティングの歴史において重要な節目となった出来事の1つであり続けるだろう。


2007年6月29日、サンフランシスコのApple直営店前に集まった人たち。
提供:CNET

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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