2014年の展望

2014年に注目すべきサービスはこれだ--インキュベーター編 - (page 2)

岩本有平 (編集部) 平野武士2014年01月02日 08時00分

サムライインキュベート 代表取締役CEO 榊原健太郎氏

質問1: 2013年の投資環境を振り返ると「東京都連携」「地方行政連携」「放送局連携」「ものづくり」の4つのキーワードが挙げられます。まず、東京都連携はサムライスタートアップアイランドが東京都による全面バックアップを受け、年間200回以上のイベント実施にアクセルをかけることができました。

 続いて、地方行政連携では47都道府県SVS(サムライベンチャーサミット:同社が手がける起業家向けイベント)をスタートさせました。地方の優良なスタートアップに投資し、まだまだ起業に馴染みのない地方の方にも積極的に支援することで日本全体の起業環境の盛り上げに繋がったと思います。

 放送局連携は、起業家のテレビ番組を実現できたことです。起業家支援を大きなマスメディアの切り口から舵をとることで、スタートアップの認知の場を開拓しました。最後の「ものづくり」は、ハードウェアに特化した新しいコワーキングスペースMONOを立ち上げたことです。

 日本は昔からものづくりに強い国ですし、多数のITスタートアップが生まれる中で更なるハードウェアの可能性を追求できると考えております。MONOの立ち上げを通して、日本のものづくり文化も牽引したのではないかと考えています。

質問2: 国内は「RoomClip」です。室内のインテリア写真をユーザーが投稿、シェアできるサービスで、投稿写真数はすでに16万枚を達成しています。衣食住の中でも、個人の「住」の情報は収集が難しくGoogleストリートビューでは収集できない情報が集まっています。Airbnbとの提携も果たし今後成長を加速させていくのではないでしょうか。

 海外では「Quirky」というユーザーの発明やアイデアをソーシャルで形にするサービスですね。ITテクノロジーの発達により、何かの「実現」は以前に比べて早く簡単になりました。しかし、まだまだ「実現化」のプロセスは時間もコストもかかっているのが現状です。良いアイデアがあっても結局ただのアイデアで終わってしまうことが多いのは非常にもったいないと思います。ソーシャルに製品開発することで、誰でも発明家になれるQuirkyはさらに注目集めると思います。

Beenos Managing Partner 前田紘典氏

質問1:「バリュー」です。特にCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)が増えた年だと思うのですが、投資するプレイヤーが増えることによって自分たちが提供するバリュー(価値)は何なのかを再認識し、それを最大化する必要があった年ではないかと思いました。

質問2: 国内は「Fril」です。今年、フリマ市場に参入してきたプレイヤーが一気に増えましたので、これからも市場は熱くなるでしょう。海外は「Instacart」です。スマホの普及によって実現できたコマースの新しいUX(ユーザー体験)を生み出して、急成長しているスタートアップになります。

フジスタートアップ・ベンチャーズ マネージャー 種田慶郎氏

質問1: 「オマエが言うな!」という話なのは重々承知のうえで敢えて申し上げますと、2013年は「日本のスタートアップ・バブル」元年であり、後年「スタートアップ・バブルの終わりのはじまり」として、位置付けられる1年となるのではないかなと考えております。なにせ、あのフジテレビですらCVCを始めたのですから。

 もともと、この領域へ供給されるリスクマネーは、経済規模比で極めて少額だったので、資金流入の増大傾向は国際競争力向上に大いにプラスでしょうし、そもそも、バブルと言い切っていいものかさえも微妙ですが、投資環境は景気の循環に左右されるうえ、弊社のような「バブル参入組」も少しは学習していくことと思いますので「ああ、あの頃はバブってたなぁ」となりそうな気がしてます。

 ブームが冷えかかった頃、過剰なバリュエーションでにっちもさっちもいかなくなる有望スタートアップが続出しないかだけが心配です。

質問2: 国内でもいよいよ「動画系サービス」全般がくるのではないでしょうか?ソーシャルネットワークへの投稿サービスやLIVE配信、それにギフティング機能を実装した中国の「YY」クローンやYouTubeを活用したMCN(マルチチャンネルネットワーク)、そして動画広告もシェアを伸ばすことと思います。

 インタラクティブなネットに繋がった小型スクリーンのスマホが主戦場となると思われますので、いかにしてローコストでエッジの効いた「短尺」コンテンツを多く提供してユーザーに受け入れられるかが勝負になろうかと思われます。

 海外のことはよくわかりませんが、「ポストFacebookの本命ソーシャルメディア」競争以外は、インターネット事業単体ではなく、各種デバイスやバイオ等の分野と融合した新事業が続々と登場し、本格的に巨大マーケット創設を競い始める1年となるのではないでしょうか。

MOVIDA JAPAN Chief Accelerator 伊藤健吾氏

質問1:「起業のカジュアル化」ですね。MOVIDAでは創業直後のスタートアップを支援していて、支援先の発掘は公募というスタイルを取っています。もちろん、それ以外の紹介などによる採択もあるのですが、大半はこの公募を入口としてアイデアよりも人物像を重視して選抜しています。2年前から始めた「Seed Acceleration Program」もテレビ等で取り上げられる機会が増えたこともあり、公募という手段によっているにも関わらず応募者の質が高くなってきている傾向にあります。

 これは我々が提唱している起業のカジュアル化が進んだということの証左で、裾野が広がることで成功件数を増やし、人とお金が循環する「スタートアップエコシステム」が成長しつつあることを実感しています。

質問2: 国内外問わず、キュレイテッドあるいはバイラルコンテンツと言ってもいいかも知れませんが、そういうものが流行ると思います。その中でもバーティカルにどういう切り口のものがあるかというので見ていると面白いかも知れません。国内だと女性向けの「mery」が急速に伸びているようですが、雑誌を置き換えるメディアに成長しそうに思います。海外では日本より先に動画コンテンツのメディアが急拡大しているので、「Upworthy」などに注目しています。

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