最後は番外編。インナーイヤーモデル、オーバーヘッドモデル枠で紹介しきれなかった、気になるヘッドホンや新規参入メーカーモデルをピックアップする。ヘッドホンの数は頭打ちになることなく年々増加しており、探す楽しみはもちろんあるが、好みのものを見つけるのがより難しくなりつつある。悩んだときは、見た目やデザインからチョイスしてみるのも一手だ。
2013年は日本発で世界初の9.1chサラウンドヘッドホンなど、成熟市場においてまだまだ伸びしろを感じさせる製品がいくつか登場している。また、ヘッドホンの関連製品となるポータブルヘッドホンアンプは、ハイレゾ音源がより身近になってきた今、改めてチェックしておきたい。
スピーカやコンポなどはもちろん、PCオーディオ系まで黎明期から支え続けているオンキヨーが5月、ついにヘッドホンを本格投入。初のオーバーヘッドモデルとなった「ES-HF300」は、Hi-Fiオーディオのボリュームコントロールをイメージした、存在感のあるデザインを採用している。
軽量で丈夫なチタンコーティングを施した、新開発40㎜ドライバで艶のある高域再生を実現。また、強固なアルミハウジング内にデュアルチャンバ機構を採用し、豊かな低音を再生する。着脱可能な6N-OFCハイグレードケーブルにより、入口から出口まで音質を徹底追求した仕上がりとなっている。なお10月より、iOSデバイスでDSDやFLACなどのハイレゾ音源に対応可能な、有料のミュージックプレーヤーアプリ「HF PLAYER」(価格:1000円)を「App Store」で提供しているので併せて楽しめる。
10月に発売したソニー製品の中でも、ひときわユニークなモノが存在する。ヘッドホンを首にかけて、スピーカとしての使用も可能な「NW-WH303」だ。正式に言えばヘッドホンではなく「ウォークマン」になるわけだが、こんなのが欲しかった!と思わせてくれる機能を盛り込み、実際にさまざまなシーンで活躍する。
例えば、ヘッドホンを着けて自転車に乗ることは禁じられているが、本製品であれば首にかけて、スピーカとして音楽を楽しむことができる。通常時はケーブルレスで「ウォークマン」になり、ケーブルを使ってプレーヤーと接続すればヘッドホンにもなる、という1台3役の使いこなしができる。ヘッドホンの性能としては、高磁力マグネットを採用した30㎜ドライバを搭載し、クリアな中高音と重厚でパワフルな低音を再生する。
同じく10月に、世界初となる9.1ch対応のサラウンドヘッドホン、ソニー「MDR-HW700DS」が登場。同カテゴリでは唯一のHDMIでの接続を実現しているだけでなく、今回の9.1ch化により、ほぼ完全にこの分野をを制したと言えるインパクトのある製品だ。
前モデル「MDR-DS7500」は7.1ch対応であったが、本製品では独自の「9.1ch 3D VPT(Virtualphones Technology)」と新DSPプラットフォームにより、サラウンドバックとフロントハイまで再生可能としている。「DTS Neo:X」「Dolby Prologic IIz」などのデコーダーをも最大9.1chで再現するほか、4K映像信号の入力に対応し、4K対応ディスプレイに出力することもできる。ヘッドホンは、ネオジウムマグネット採用の大口径50㎜ドライバを採用している。
ヘッドホンとともに盛り上がったポータブルヘッドホンアンプも、2013年もさまざまな製品が登場している。「e-onkyo music」や「mora」をはじめ、ハイレゾ音源は2012年以上に増加しており、ハードにおいてもJVCケンウッドが参入を発表するなど、このブームはまだ続きそうだ。中でも注目なのは、2012年爆発的なヒットとなった「PHA-1」の兄機となる、ソニー「PHA-2」である。
PHA-1との違いは、ウォークマンとのデジタル接続や24bit/192kHzやDSDデータにも対応したハイグレードモデルであるということ。搭載しているDACも異なっており、本製品では量感のある低域とクリアな中高域が楽しめる。PHA-1より筐体は大きくなったものの、バッテリの持ち時間は伸びるなど使い勝手は向上している。回路設計からアルミ筐体まで、音に対する妥協を許さない仕様が各所にちりばめられている。
ポータブルヘッドホンアンプは、自分が好きなものを選んで持ち運びたいというユーザーが多い中、あえてヘッドホンにアンプを一体化させた、逆転の発想ともいうべきオーディオテクニカのアンプ内蔵ヘッドホン「ATH-OX7AMP」も推しておきたい。
ハウジング内に、低ノイズの高出力ヘッドホンアンプを内蔵。頭にしなやかに沿わせる形状の「スマートフォルムヘッドバンド」と高感度40㎜ドライバを搭載することで、アンプ経由の高品位なサウンドを余さず伝送。一体型であるメリットを活かした構造で、繊細な表現から広がりのある音まで再生する。また、アンプの回路とは一切を切り離す「True Bypass機能」で通常のヘッドホンとしても使用可能だ。着脱式のヘッドホンコードとスマートフォン用コントローラー付きコードも付属する。
番外編の多くがソニー製品となったが、2013年はかつての“ソニーらしさ”を感じさせる勢いがあり、実際に魅力的な製品ラインアップを展開している。オンキヨーをはじめ、アプリを展開するモデルも増えてきており、ヘッドホン+アプリでさらなる拡張性が見込めそうだ。
今回のヘッドホン10選+番外編で紹介したモデルは、あくまで筆者の独断と偏見によるものだが、いずれも2013年の代表作と言える非常にクオリティの高いものばかり。また2012年と比べると、勢いのあった海外メーカーモデルも落ち着いた印象があるが、総じてレベルは底上げされている。ここで厳選したものは、基本的に大手量販店などでお目にかかれるもの。お店が近くにある人は是非店頭でその実力を試してほしい。
◆インナーイヤー編はこちら
◆オーバーヘッド編はこちら
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