3月にリリースしたスマートフォン向けゲーム「クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ」(黒ウィズ)が累計1600万ダウンロードを超え、一躍ヒットタイトルメーカーとなったコロプラ。一方で、位置情報ゲーム「コロニーな生活」と連動した物産展を3年連続で開催するなど、従来からの強みであるリアル領域での取り組みの手も緩めない。
この激動の2013年を、コロプラ代表取締役社長の馬場功淳氏はどのように受け止めているのか。また2014年はモバイルゲーム市場でどう勝ち抜いていくのか。
コロプラ初のフルネイティブのオンラインアプリということで、不具合の連続で苦労したこともありましたが、何とか軌道に乗せることができました。黒ウィズには大きな山場が2回あったと思っています。まず始めにアプリをリリースした時ですね。当初から、ユーザーの熱量がすごく高くて「これは何かあるな」と感じていました。そして次がテレビCMのタイミングです。アプリストアのランキングに載るようになってきて、会社として初めて全国CMを流す決断をしたのですが、非常にいい結果が得られました。いまのスマートフォンにおけるアプリとCMとの親和性の高さを実感することができました。
フルネイティブなので操作性がよくて手触り感がいいところがまずひとつ。それとやはりクイズであることが多くの方に受けたのではないかと思います。リリースした当時はボタンをポチポチするゲームがまだ多かったのですが、黒ウィズはそこまで難しくないんだけれど、しっかり遊んでいる感があるというか。キャラの強さだけでなく、自分の知識や経験が自然とゲームにフィードバックされるシステムに新しさを感じてもらえたのではないかと思います。
できればずっと続いて欲しいですね(笑)。いまはフィーチャーフォンからスマートフォンに買い換える方がすごく増えていますが、絶対にスマートフォンを使わないという層も一定数いるので、2014年の中ごろにはこの流れも落ち着くのではないかと思います。そうすると新規のユーザーの流入がなくなるので、そこでどう戦うかということだと思いますね。ただ黒ウィズ自体も改善を繰り返していて、その時々にあったテーマで新たなコンテンツを作っているので、今遊んでいただいている方々には飽きることなく遊んでいただきながら、新たなユーザーも獲得できたらと思います。ただ、やはりどこまでこの勢いが続くかは分からないですね。
パズドラは偉大なゲームですよね。これだけ新しいデバイスに向けて爆発的にヒットした例はそこまでなかったと思いますし、アドバンテージは大きいと思います。ひとついいなと思うのは、若年層から40代くらいまでの幅広い層にリーチできていることです。黒ウィズは高校生くらいでないと解けない問題も多いので、そこから下の層がバッサリ抜けてしまっているんです。
そうですね。社内でも受験生とかセグメントごとのクイズアプリはありだよね、と話していて、今後もしかしたら作るかもしれないですね。実はいまは「Kuma the Bear」ブランドの方で、クイズの研究をしているところです。クイズのコアアクションをどうやって作るかという話をしていて、画像クイズや文字クイズのアプリをリリースしてライトユーザーの反応を見たりしています。
やはり立ち位置としては凄く強いですよね。訴求力というか、伝播力というか、本物のソーシャルグラフを持っていないと出来ないものなので、今後の動向は非常に注目したいです。彼らはもともとゲーム会社でもあるので、高品質なゲームを作るノウハウを持っていますし、他社との協力関係も築いているので、会社全体としての力が非常に強いと思っています。ただ、あまり重たいゲームになるとLINEのユーザー層には合わない可能性もあると思うので、引き続きライトなところで幅広くやられていくのではないかと思っています。
2つあると思います。まずは、ライトゲームだけでなくしっかりと遊びごたえのあるゲームを作ること。「スマートフォンゲームといえばコロプラだよね」と言われるブランドになるまで良いものを作り続けるのがポイントかなと。2つ目がソーシャルグラフを持っていないことですね。ソーシャルグラフは強みである一方で、ユーザー層や世界観が出てくるのでそれを壊すことができない。逆にいうとできることの選択肢が狭まると思っています。たとえば、LINEがダークファンタジーみたいなゲームは出しにくいのかなと思います。我々は、そこに制限はないのでやろうと思えば何だってできることが、この激動の時代においては非常にプラスに働くのではないかと思います。その時代、時代にあったゲームを提供しやすくなるということですね。
現在のモバイルゲーム業界は少し前までの業界の常識が通用しなくなりつつあります。これからは会社の“総合力”が試される時代なのかなと思います。ゲームを作っても、誰もコンサルティングをしてくれないし、マーケティングを手伝ってくれるわけでもないし、ユーザー母数を抱えているわけでもない。すべて一からの勝負になるので、それらに対応できないと厳しいと思います。
ゲーム性に関しても、これまではシステムがカードゲームと決まっていたので、その中でどうするかという話だったのですが、ユーザーはむしろそうじゃないものを求めるようになってきました。そうなると、ゲームをいかに作るかというところのノウハウや考え方がすごく問われるようになってきていて、そこにもひとつ高い壁があると思っています。ゲームを作るマインドというか、ナンバリングのないコンシューマーゲームを作る感覚に近づいているイメージがありますね。そして技術力も大切です。作りたいと思ったときにそれを表現できるかという課題があって、まだこれに対して業界全体としては追いついていない状況だと感じています。
エンターテインメント業界なので、「一発ドカン」というのはどこの会社にも可能性としてあります。それが上場企業で、投資されている方がいるのであれば、一攫千金を狙えるというか、夢がありますよね。もちろん、ゲームが当たって売上や株価が急増するのはどうなんだろうと思われることも正しいと思うのですが、そういう業界であることも事実なので、そこも含めて見ていただければと思います。
結局、出してみないと最終的に何が当たるのかは分かりません。なので、ヒットの確率を上げるためには打席にどれだけ立つかがポイントで、打席に立てば立つほど、勝率は上がると思います。そこを突き詰めると、いかにトレーニングを積んで高品質なアプリを出し続けるかということが重要です。それと、できれば自分たちで作ったゲームを沢山出していきたいですね。たとえそのコンテンツがハズレても、作ったときのノウハウや技術は必ず蓄積されるので、次の打席に立つときに役立つと思っています。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果