2013年に登場したヘッドホンは、2012年のパロット「Parrot Zik」のように突出した製品こそなかったが、今まで以上に各メーカーの本気度が感じられる、1つ1つが個性を持ったアイテムが増えたように思う。多くのヘッドホンブランドにおいて、人気シリーズの刷新や看板モデルのリニューアルといった攻めの姿勢が活発化する一方で、ソニーやボーズなどの大手も手綱を緩めることなく、面白味のある新製品を続々と投入。こうした2つの大きな動きが、結果として個性的なモデルを多く輩出したと考えられる。
そんな中、期せずしてトレンドとなったのが「ハイブリッド」というキーワードだ。ダイナミック型ドライバとバランスドアーマチュア(以下、BA)型ドライバの両方を搭載したインナーイヤーはこれまでも存在していたが、2013年になると各メーカーから比較的求めやすい価格帯で一気に増加。同様に、2つ以上のドライバや異素材を組み合わせた別解釈のハイブリッドモデルも増えている。また、ヘッドホンにDSPを搭載したり、アンプを内蔵したりとオーバーヘッドのボディを活かした新提案モデルも登場するなど、新たな進化を遂げたヘッドホンが発売された1年であった。
ここでは、インナーイヤーモデルとオーバーヘッドモデル、さらに番外編と3つのカテゴリに分け、2013年の必聴ヘッドホン10選に加え、そこに収まりきらなかったモデルを筆者の独断と偏見で紹介。発売された時系列に沿って、特徴や音質傾向などを交えて振り返る。
第1回目は、インナーイヤーヘッドホン珠玉の5選を紹介する。手軽に使える上に遮音性が高く、通勤・通学時に安心して使えるなどの理由から、ヘッドホンカテゴリにおいて常に最大勢力のインナーイヤー。エントリークラスでの人気製品は2013年も変わらず販売が継続されているが、ミドルからハイエンドクラスでは各メーカーともに大きくモデルチェンジを図られた1年だったと言える。主要ブランドの、音質を極めた新フラッグシップモデルや、先に触れたダイナミックドライバとBAドライバのハイブリッドモデルなどが目立っていた。
3月には、カスタムヘッドホンにも力を入れているUltimate Ears(アルティメットイヤーズ)より、大ヒット作「TripleFi 10」の後継機となるインナーイヤーモデル「UE900」が発売された。人気機種の後継というとそれだけでもハードルが上がるわけだが、そんな気負いを全く感じさせない新たにトライしたデザインも魅力の1つ。
前モデルTripleFi 10は中低域×2基、高域×1基のBAドライバを搭載していたが、本製品では低域×2基、中域×1基、高域×1基へとドライバ数を増やし、かつそれぞれの音質も強化が図られている。より明瞭なサウンドを実現し、自然な低域とともに高解像の中高域が楽しめる。2本の着脱式編組ケーブルを採用し、そのうち1本では、iPhone/iPodで曲の変更や音量調節の操作ができるマイクとインラインコントロール付きとなっている。
8月には、高精度なモニタサウンドで名を馳せる、SHUREのインナーイヤー最上位モデル「SE846」が登場。これまでSHUREと言えば、インナーイヤーモニタの代名詞というべき名機「SE535」が存在していたが、それを上回るフラッグシップ機がお目見えとあって発売前から話題となっていた。
高域×1基、中域×1基、低域×2基の計4基のMicroDriver(BAドライバ)構成で、一貫性のある透明な筐体ボディを採用。ドライバの形が外側から見える独特のデザインは自信のほどがうかがえる。特許申請中の新開発ローパスフィルタにより、本物のサブウーファのレスポンスを提供する仕組みを具現化。最上位にふさわしい圧倒的な低音と密度のあるクリアな中高音を実現している。ほかにない交換式ノズルを採用し、3種類の周波数フィルタにより、ユーザー自らが音質調整できるのも目新しい。
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