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2013年のモバイル業界

松村太郎が振り返る2013年のモバイル業界--“成熟”からウェアラブル、パーソナルへ - (page 2)

松村太郎 坂本純子 (編集部)2013年12月28日 08時00分
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――2013年はモバイル業界にとってどんな1年だったと考えていますか。

 既存の枠組みについていえば「成熟」です。Appleが底力を見せつけた「iPhone 5s」の登場時、初搭載となる64ビットのA7プロセッサによってもたらされた機能は、処理能力に対するバッテリライフの向上、カメラ機能の向上でした。一方Androidデバイスも、大画面のスマートフォンでiPhoneへの優位性を示してきた流れから変わってきています。例えば、MotorolaのMoto XやMoto Gのように、色や素材の着せ替えを売りにする楽しみへとシフトしていると思います。

 デバイスとしての進化は一段落しつつあり、「カメラ」と「身につけるモノとしての愉しみ」に集約された印象です。ここに、ソーシャルからダイレクトなコミュニケーションへの展開を重ねると、通信はできるがより身の回りを楽しむパーソナルなものとして、モバイルのトレンドが流れていくのではないか、と見ています。

――2014年は「コレがくる」という端末やサービス、トレンドなどがあれば教えて下さい。

 モバイルデバイスの成熟を前提に、身につけるモノとしての愉しみ、コミュニケーションのダイレクト化、情報活用の身の回り化、といった視点が2014年の方向付け。「ウェアラブルデバイス」、「ジオデータ」、「スモールデータ」もしくは「スモールサークル」、といったトレンドに期待しています。

 実際、米国でGoogle Glassを試しています。Glassは、特にGoogleのサービスとの深い連携から、声だけで目の前の情景を公開したり、友人に届けることができます。Glass向けのアプリを利用する際には、必ず命令となる「動詞」を伴って増えていきます。

 例えば「Share」(共有)、「Get direction to」(○○までの道案内)、「Take a picture」(写真を撮る)、「Start stopwatch」(ストップウォッチを計測開始)など。主語がないので命令形、という英文法の初歩はとにかくとして、例に挙げたものは元々ある動作を示すものですが、だんだんサービス名が動詞化するとどうでしょう。

 既に英語の辞書で「Google」が検索するという意味の動詞として使われていることはご存じの通りですが、「Facebook me」(Facebookでつながる)や、「Instagram」なんかも、サービス名ながらも動詞的に使われる様子を日常会話で見かけます。裏を返せば、「動詞化」するアプリをいかに作るか、というのがモバイルアプリ開発の成否を分けそうです。

 もちろん米国・カリフォルニア州であっても、Google Glassは珍しい代物であるし、ずっとかけながら生活するのは少し恥ずかしさがあるほど不自然といえます。しかし2007年に登場したiPhoneも、持っていれば声をかけられるような時代があったことを考えると、3~5年でその不自然さは消えていくことでしょう。もちろん、もっとさりげないアイテムになってくれても良いな、と思いますが。

 ウェアラブルデバイスを街の中で使い、自分に関係ある身の回りのデータを活用して生活やコミュニケーションに役立てる、というのが2014年への展望です。この期待しているトレンドは、1つずつがバラバラに存在するのではなく、非常にシンプルな手元にあるデバイスとクラウドによって、高度に連携しながら、「ただ、裏で動いてくれている」ことが重要でしょう。

 2013年の「成熟」に続いて、もしかしたら2014年のモバイルの最適な姿は、あまり表に出てくるものではなく、地味なモノかもしれません。しかし、それでいいと思います。

松村太郎(まつむら たろう)

1980年東京生まれ。現在、米国カリフォルニア州バークレーに在住し、テクノロジー企業とライフスタイルの取材を行う。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、ビジネス・ブレークスルー大学講師。キャスタリア株式会社では、ソーシャル・モバイル・ラーニングのコンセプト立案と事業家に携わる。コード必修の通信制高校コードアカデミー高等学校(※設置認可申請中)スーパーバイザー。 www.tarosite.net / Twitter @taromatsumura / Google+ http://plus.google.com/+TaroMatsumura

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