PC向けよりもスマートフォン・タブレット向けのウェブサイトを先行開発する「モバイルファースト」方針を掲げる企業が増えてはいるが、ほとんどの企業ではPCでの閲覧を前提としたウェブサイトを以前から長らく運営しており、PC向けサイトで提供していた情報を再編集する形でモバイルサイトを設計していくことになる。CNET Japan Live 2013では、ウェブ解析ツールの開発・提供を行っているユーザーローカルのコーポレートセールスディレクター・渡邊和行氏が、モバイルサイトの分析事例を紹介しながらスマートフォンユーザーへの効果的な情報提供の手法を説明した。
最近のスマートフォンは高性能なプロセッサや高解像度のディスプレイを搭載しており、PC向けのウェブサイトを表示する能力は備えている。しかし、画面サイズは4〜5インチ程度と物理的に限られているため、PCと同じ情報をそのまま表示しても十分なユーザビリティは得られない。また、渡邊氏は「ユーザーの興味を引かないと、PCサイトに比べ早いタイミングで離脱を判断される」傾向にあるとし、モバイルサイトではコンテンツの魅力はもちろん、レイアウトやユーザーインタフェースなどの工夫がPCサイトよりも一層重要になってくるとの見方を示した。
ユーザーローカルでは、ユーザーの操作や滞在時間などを元に、ウェブページ上のどの場所がより注目されているかをサーモグラフィーのように可視化する、ヒートマップ形式の分析ツールを主力製品としているが、モバイルサイトにおいてもこのヒートマップ分析を適用することでコンバージョンレート等の改善を行っている。
今回の講演で事例として紹介されたのは、英会話教室のウェブサイトで、PCサイトおよびモバイルサイトの両方を続けてリニューアルした。
まずPCサイトだが、一般的に企業サイトでは自社の強みのなる特徴や差別化ポイントを訴求する傾向にあり、同社でもビジネス現場で使える実践的な英会話を学ぶコースが豊富であることを前面に押し出していた。しかし、ウェブサイトを訪れるユーザーの検索ワードとサイト上での行動履歴を関連づけて分析すると、例えば「英会話」といったキーワードで流入するユーザーはページ全体を上から下までまんべんなく見ているのに対し、企業名をキーワードで来たユーザーはウェブページの上のほうにとどまり、あまり寄り道をせずビジネス英会話向けのコース説明のページに移動するなど、明確な目的意識があり切迫感も高いと考えられることがわかった。
このためリニューアル後は、レッスン時間の振り替えが可能、複数の教室を利用可能といった、通うにあたっての利便性の訴求をより優先。利便性を説明するテキストや画像は、複数ページで重複する内容であっても各教室の案内ページに繰り返し掲載し、レッスンの内容よりも「そもそも通えるのかどうか」の不安を先に解消できるサイト構成とした。
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