では、日本企業はどうだろうか。NASDAQ市場において名前を連ねている企業を見てみると、中国企業は96社、イスラエル企業は58社だが、日本企業は1社しか入っていないとウッザマン氏は指摘する。「日本はイスラエルよりもIT技術が国全体として高く大きな市場である。にもかかわらず、NASDAQ市場に並んでいる企業が少ないという現実を、きちんと見すえなければいけない」とウッザマン氏は語る。
「米Fortune誌が年に1回発行する『Fortune 500』にノミネートしている日本企業の多くは、戦後に誕生した企業ばかり。また、こうした世界に誇る日本企業であっても、ノミネート企業における売上高比率は95年から2009年にかけて35%から13%に減少し、日本の得意市場であった家電製品の輸出比率も30%から15%へと減少している。つまり、日本企業のグローバルにおける影響力も弱まっている」(ウッザマン氏)
こうした現実を受け止め、グローバリゼーションを図っていくためにどのようにすればよいか。一つは、海外企業とのパートナーシップだ。グローバルファームのネットワークを活用し、協働を図ることが重要だとウッザマン氏は語る。次に、英語をプロダクトの標準語で使用することで、より潜在顧客にプロダクトを提供でき、グローバルのトレンドに乗ることができるという。
グローバルにおけるソーシャルメディアマーケティングも有効だとウッザマン氏は語る。ターゲットをグローバルに見据えることで、リーチを広げることができると語る。「シリコンバレーに支社を置き、その後欧州や東南アジアなどに拠点を広げていくことで、グローバルに展開するネットワークも構築しやすい」と語り、オンラインだけでなくリアルの場のネットワークを構築することも重要だという。
「海外地域専門家制度を作り、現地の専門家を育成してニーズを適切に把握し、迅速な商品開発に活かしているサムスンや、海外現地企業をM&Aしたり現地に100%出資の子会社を展開するなど、国々に応じたグローバルマーケティング施策を展開するウォルマートなどがある。現地のニーズを掴むためのグローバル戦略を考えることが大事だ」(ウッザマン氏)
最後に、グローバリゼーションを促進するためには、教育制度の転換が必要だとウッザマン氏は語る。MIT(マサチューセッツ工科大学)は、31%は米国以外の学生が占め、スタンフォード大学も新入生の11%は米国外の学生だという。対して、日本に来る海外留学生はこの10年で24%も低下し、2010年は5万8000人程度だという。優秀な人材や、日本で学びたいと思う学生が減少している事実こそ、日本とグローバルとの距離が離れている証拠だという。「優秀な人材を日本に呼ぶための仕組み作りと、日本に来たくなるような魅力を発信していかないといけない」とウッザマン氏は語り、グローバル人材を育成する環境構築の重要性について語る。
「グローバル環境と同時に、教育としてアントレプレナー育成を図るための仕組みを構築することも大切だ」とウッザマン氏は語る。海外の大学では、部活やサークルのように起業を促進する仕組みが大学内に組み込まれている。日本においても、アントレプレナーが生まれる土壌を作り出し、グローバリゼーションを促進することが日本の発展に寄与するという。
「これからの企業は、グローバル視点のマーケティングやパートナーシップを組んでグローバルに活動を展開することを基本に据え、技術を活かして世界に誇る大企業を作って欲しい」(ウッザマン氏)
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