そんな同社が意識する3つの業界トレンドがある。まず1つめはクラウドコンピューティングの普及だ。今後5〜10年で企業の利用するサービスはオンプレミス(自社設備での運用)なものからクラウドに変わってくる。
2つ目はトップダウンでソフトウェアを導入していた時代は終わったこと。Zendeskのクライアントの1社であるAdobeなどは、当初1つの部門、数アカウントから導入が始まったが、その反応を見た他部署の人間が導入を進めたのだという。
そして3つ目はモバイルの普及だ。iPhoneが発売されて以降、アプリケーションの使い方は大きく変わった。すでにスマートフォンで使えないようなアプリは利用されなくなった。Zendeskでもスマートフォンには早急に対応したという。
またこれまでの事業で得たという3つの教訓も紹介した。1つ目はグローバル化がもたらすメリットを考えること。デンマークという小さな国からスタートしたZendesk。そもそも国内だけを市場として意識するのではなく、グローバルでの提供を前提にサービスを開発したのだという。また、小国に閉じていれば資本面でも人材面でも拡大が難しい。そのため彼らはシリコンバレーに行くという選択肢をとったのだそうだ。
2つめはプロダクトをを作り込み過ぎないことだ。素早くプロダクトを提供し、ユーザーからの要望にすぐ対応できる体制にしなければいけない。Zendeskでは、サービスをリリースして間もない頃にさまざまなメディアに広告を出し、2週間で1000社のユーザーを獲得。そこで「声」を聞く体制を作っていったという。
そして3つめはブランドイメージの重要性だとした。サービスがクラウドに移行し、導入も容易になってきたことは、すなわちサービスのリプレイスが容易になるということだ。Svane氏は会場で自社を紹介する動画なども紹介し、ブランディングの重要性を伝えた。
成功について語るSvane氏。会場からの「一番のチャレンジは何だったか」という質問に対して、「すべてのことがチャレンジだった」と振り返る。ただ大きいチャレンジとして上げたのは採用だ。雇用には非常に時間をかけ、互いのメリットについても語り合うのだという。
また、3人で創業したため、共同経営者について聞かれると、Svane氏は「最悪ですよ」と冗談ぶいて語った。「特にサービスを立ち上げた当初は何が起こるか分からないし、予測できない。そんなときに3人が同じマインドセットでいられるかは難しい」(Svane氏)。
だが、3人それぞれに必要となる時期があると語る。残り2人の創業者がエンジニアとして頑張る時期と、Svane氏がVCから資金調達に動く時期は異なる。「自分だけが頑張っているのに『彼はソファーで寝ている』というときはある。だがそれぞれが貢献できる価値を理解しないといけない」(Svane氏)。そして付け加えるように「いいストーリーはつくったが、必要以上には一緒にいたいとは思わない(笑)」と語った。
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