IPOはまだ先--Dropbox創業者が語る競合、エンタープライズ、Mailbox買収

 ドラッグ&ドロップでファイルが共有できる「Dropbox」、手軽さとわかりやすいネーミングが受け入れられ、ファイル共有や共同作業を大きく変えた。

 ITコンシューマライゼーションの代表格と形容されることも多いが、Dropbox共同創業者で現在CEOを務めるDrew Houston氏は「最初から個人と企業の両方を狙っていた」とし、“次の課題”といわれるエンタープライズの展開に自信を見せる。10月末、アイルランド・ダブリンで開催されたウェブベンチャーイベント「WebSummit 2013」でHouston氏が登場し、エンタープライズ、競合、IPO、そしてMailboxの買収などについて語った。

  • Dropbox共同創業者でCEOのDrew Houston氏(左)とWall Street Journal欧州版のBen Rooney氏(右)

 Houston氏はWall Street Journal欧州版のテクノロジージャーナリスト、Ben Rooney氏の質問に答える形で、さまざまなトピックについて話した。

IPOの予定は当面なし

 Dropboxは2008年に創業、5年目にしてユーザーは2億人に達しているという。最新の評価額は40億ドル。折しもDropbox創業の1年前に立ち上がったTwitterがIPO直前だったことから、Rooney氏は最初の質問としてIPOについて聞いた。Houston氏は「いつかは(IPOを)するだろう。だが現在は、すばらしい人材を採用して、優れた次世代のサービスを構築することにフォーカスしている」と述べ、当面予定していないとした。「われわれはすでに収益を上げている」とも述べる。「IPOをする理由の1つが資本。Dropboxは現在資本を必要としていない。(株価の形で)継続的に評価が得られるというメリットもあるが」と続けた。

 Dropbox人気を受けて、GoogleやAppleもファイル共有サービスを開始した。「創業するとき、ハイテク業界の王者たちと競合関係になると想像していたか」という問いについては、「起業したのは、自分の問題を解決するため。自分にメールを送るとかハードディスクドライブを持ち歩く、あるいはバックアップをとるようなことにうんざりしていた」と明かす。

 競合については、「会社の規模が小さかったときから、同じようなサービスを提供するところと競合関係にあった。競合よりもすばらしい製品、ユーザーが使いたいと思うような製品の開発にフォーカスしている」と述べた。

Mailbox買収について

 Dropboxによる最新の大型買収が、3月に発表したiPhone用Gmailアプリ「Mailbox」のOrchestraとなる。Mailbox買収の狙いについてHouston氏は明言を避けながらも、「電子メールが嫌い。これが出発点だ」「たくさんの未読メールがたまっており、メールが非効率的だと感じている人は多いはず。メールは人類の時間を無駄にしている」と切り出す。

 「電子メールはあまり進化していない。Mailboxはメールの進化に向けたアイデアを持っており、その一部を実現しようとしていた」と創業者やチームの獲得が目的だったことを伺わせた。「できることはたくさんある。まだ氷山の一角を見ているにすぎない」。

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