デジタルガレージがサンフランシスコに拠点開設--キックオフイベントを開催

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 デジタルガレージは米国時間11月5日に、サンフランシスコ市に「DG717」と呼ばれる拠点を開設し、「New Context Conference -East Meets West-」と題したイベントを開催した。イベントにはサンフランシスコ市長のEdward Lee氏、在サンフランシスコ日本総領事代理を務める渡邊信裕氏らがテープカットに訪れたほか、副総理兼財務大臣、金融担当大臣の麻生太郎氏からもメッセージが贈られた。オープニング映像は、坂本龍一氏の音楽、中野裕之氏を監督に迎えて制作されたという。

 DG717は、サンフランシスコの目抜き通りであるマーケットストリート沿いの100年前に建てられたビルの1階と2階部を改装して作られた。デジタルガレージの米国オフィスとして、また投資先企業が入居するほか、コワーキングスペースとしても利用される。東京を拠点とするシードアクセラレータOpen Network Labのノウハウを生かし、グローバルなスタートアップ企業の育成を行っていく。

 基調講演は、MIT Media Labの伊藤穣一氏、Twitter共同創業者のBiz Stone氏、Oblong Industriesのチーフ・サイエンティストのJohn Underkoffler氏が行った。

テープカットの瞬間
テープカットの瞬間

“脳”をテーマとするセッション

MIT Media Labの伊藤穣一氏
MIT Media Labの伊藤穣一氏

 伊藤穣一氏によるオープニングスピーチでは、BI(Before Internet)とAI(After Internet)で社会のさまざまなことがスピードを高め、予測不可能になったとした。その中で育ってきた子供たちの脳は、我々のそれとは全く異なっていると指摘する。そして、脳をいかに刺激するかというテーマについて、次のような例を挙げた。「学校では知識を脳に残す授業が行われてきたが、脳の働きを見ると、宿題やプロジェクトで脳が活発に働くのに対し、授業中はほとんど脳が働いていない」(伊藤氏)

 また直感と論理的思考について、「バットとボールのコストが1ドル10セントで、バットはボールより1ドル高い。ではボールのコストは?──視覚的には10セントになるが、左脳を働かせると5セントであるとわかる。10セントに見えるのは錯覚だ。脳は判断ミスをする」(伊藤氏)

Twitter共同創業者のBiz Stone氏
Twitter共同創業者のBiz Stone氏

 そんな判断ミス、すなわち失敗について触れたのは、Twitterの共同創業者Biz Stone氏だ。TwitterのIPO申請は2013年のテクノロジ業界の大きな出来事の1つといえるだろう。そこに至るまで、Stone氏は、自身のウェブデザイン会社BloggerをGoogleに売却してからのGoogle時代、そしてTwitterを起業する前に考えた、今で言うPodcastのアイデアについて振り返り、失敗のエピソードを披露した。

 失敗の1つ目は、企業の文化に気を配らなかったこと。2つ目は、人を中心にテクノロジを考えなかったこと。そして3つ目は、自分がやらないこと(やれないこと)を考えてしまったことだという。またキャッチフレーズは「○○になるな」ではなく、「○○になろう」というポジティブな方が良いとも指摘した。

チーフ・サイエンティストのJohn Underkoffler氏
チーフ・サイエンティストのJohn Underkoffler氏

 基調講演の3人目に登壇したJohn Underkoffler氏は、映画「マイノリティ・リポート」の未来のユーザーインターフェースに関するアドバイザーも務めており、実世界で生きている我々が、いま使っているスマートフォン以上に巨大なディスプレイを使いこなして情報を手元に存在させるインターフェースについて、事例を魅せて紹介した。

日本から、「ネコミミ」のあの会社もデモで世界へ発信

会場内のデモの様子
会場内のデモの様子

 今回のテーマは脳。人とコンピュータの新たな関係についての示唆に富んだセッションが続いたが、その中で、会場内でデモを行っていたのがニューロウェアだ。展示していたneurocamは、iPhoneと脳波などを読み取るセンサを内蔵したヘッドギアによって、気になったモノを記録することができる仕組みだ。

 慶應義塾大学の満倉靖恵准教授と共同で脳波や脈などを定量化した「気になる度」に基づき、基準値を超えると5秒間のGIFアニメーションを撮影することで、その人が何を気にしたのか、どんなことに興味があるのかをアニメーションにすることができる。いわば、その人の頭の中をのぞくような感覚でそれをシェアできる。

iPhoneと脳波などを読み取るセンサを内蔵したヘッドギア
iPhoneと脳波などを読み取るセンサを内蔵したヘッドギア

 ニューロウェアは「脳」という今回のセッションのテーマにぴったりのキュレーションだったが、DG717の役割の1つ、すなわち日本のスタートアップやアイデア、文化を米国に発信する初の事例の1つとなった。DG717には日本のアーティストによるアート作品が紹介され、また日本のスタートアップの米国進出の足がかりにもなる。

 シリコンバレー、サンフランシスコのトレンドの中で効果的に日本を伝える拠点として期待されるDG717。彼らの活動を継続的にお伝えしていこうと思う。

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