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Square創業者J・ドーシー氏に聞く--おいしいカフェが生み出す“決済”のデザイン

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 Squareは、スマートフォンやタブレットをクレジット決済端末に変える小さなクレジットカードリーダだ。それまでカードが利用できなかった小売店や飲食店、フードトラック(トラックで移動する屋台)などで積極的に使われるようになり、急成長を遂げている。日本にも上陸し、ユニクロとのコラボレーションも発表されたばかりだ。

Square創業者のJack Dorsey氏
Square創業者のJack Dorsey氏

 前回、Squareの新サービスSquare Walletについてお伝えした。Square導入店舗で位置情報を活用し、顧客・店員の双方がクレジットカードに触れずにSquareで決済することで、テクノロジを意識させない「スマート」な体験を提供する手段だ。名前を告げるなどのプロセスにより、店と顧客の間にコミュニケーションが生まれるような仕組みを提供している。

 Squareは10月に新オフィスへ引っ越したばかりだ。サンフランシスコのマーケット・ストリート沿いに位置し、サンフランシスコのシティホールのすぐ近くにある。しかも、隣のビルにはTwitterが本社を構え、「@Twitter」というビルのサインが印象的だ。

 ご存じの通り、TwitterとSquareは、ともにJack Dorsey氏が創業者として名を連ねるという共通項がある。同エリアは1年前に訪れると、いまいち雰囲気が良いエリアとは言えなかったが、Twitter、Squareと引っ越しが済む頃になると、ビルの前の道はきれいにタイル舗装され、少し明るい雰囲気になっていた。

プロトタイプでみる、Squareができるまで

Squareの受付。SquareレジのスタンドにセットされたiPadでNDAへの署名を行う。オフィス訪問の日の朝には、時間と場所、交通などが記されたメールが届く。いずれも新オフィス向けに開発された新システムだという
Squareの受付。SquareレジのスタンドにセットされたiPadでNDAへの署名を行う。オフィス訪問の日の朝には、時間と場所、交通などが記されたメールが届く。いずれも新オフィス向けに開発された新システムだという

 Squareのオフィスに入るにあたり、他のテクノロジ企業と同様にNDAへのサインが求められる。しかし、その端末はSquareレジスターに装着されたiPadだった。流れるようにプロセスが終わる点は、さすが「誰でも使えるiPadレジ」をデザインしている企業だけある。ただ、Squareのオフィスの受付にたどり着くまでも、他の企業訪問と違っていた。

Squareのオフィス
Squareのオフィス

 朝起きて程なくするとSquareからメールが届いており、ミーティングの時間とSquareのオフィスの場所、電車やバスの案内、駐車場の情報(これは市内では重要)、さらにはオフィス内のゲストWi-Fiの情報まで記されていた。出迎えてくれたSquareのAaron Zamost氏によれば、一連のゲストシステムも、新オフィスに合わせて開発したのだという。ホスピタリティの高さがうかがえる一幕だった。

グレーのカーペットに木目調が目立つ作りで、アース、ナチュラル、といった雰囲気が感じられる
グレーのカーペットに木目調が目立つ作りで、アース、ナチュラル、といった雰囲気が感じられる

 オフィスに入ってまず案内してくれたのが、ギャラリーだ。ここにはSquareのカードリーダのプロトタイプ11点と、Dorsey氏らが描いたアプリのスケッチが展示されていた。

 一番最初のプロトタイプは、世の中に多く普及している横長で分厚いリーダだった。それまで利用されてきたクレジットカードリーダ部分がそのまま置かれているという印象だ。しかし2つ目のプロトタイプでは、現在の形・サイズに近いモックが作られており、社名通り正方形のリーダを始めから目指していたことがわかる。

Squareリーダとアプリのプロトタイピング
Squareリーダとアプリのプロトタイピング

 はじめはiPhoneを前提に開発していたが、2008年からSquareのアイディアを考え始める。2009年にSquareが会社化した後、2010年にAppleがiPadを発表したことからiPad向けにデザインの最適化も進めたという。

 興味深いのは、決済でサインをする画面に、位置情報を示す地図上のピンが立てられている点だ。Squareの顧客からすれば、どこで何を購入したという体験の記憶を、紙のレシート以上にキチンと残せることを意味する。同時に、顧客がこれから自分が支払おうとしているお店を確認する意味でもわかりやすい。

 モバイルを前提にしていることへの気遣いが現れている。あるいは移動を前提としたビジネスへの対応という側面もあったのかもしれない。しかしこの位置情報への対応こそ、冒頭で紹介したSquare Walletの、顧客の位置情報を照合してコインにもカードにもスマートフォンにも触らず決済を行うアイディアを実現する仕掛けと言える。

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