アマゾン、日本の「Kindleストア」開設から1年--紙の本と電子書籍の売上比率は?

坂本純子 (編集部)2013年10月28日 17時46分
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 Amazon.co.jpは10月25日、「Kindleストア」にて新たなKindle配信サービス「Kindle連載」を開始したと発表した。一度タイトルを購入すると、その後一冊の本として完結するまで全てのエピソードが手持ちのKindle端末や無料アプリに配信されるというものだ。

Kindle連載
Kindle連載

 日本国内におけるKindleストアは2012年10月25日の開設からちょうど1年が経過する。

 当初「総計5万以上の規模」としてスタートしたが、現在は和書14万8000点以上(コミック5万点を含む)で約3倍に。うち、Kindle限定タイトルは数十万点に及び、洋書を含めると合計200万点以上を取り揃えるという。

 閲覧端末は、Amazonが販売する電子書籍端末「Kindle Paperwhite」とタブレット「Kindle Fire」シリーズをはじめ、スマートフォンや他社のタブレットでも可能で、マルチデバイスも特長のひとつだ。

 Kindleのビジョンとして、“あらゆる時代、あらゆる言語、全ての本を、世界中のどこでも、60秒以内でお手元に”を掲げる。Kindleは単なる端末ではなく、プラットフォームを越えたサービスであるとした。

紙の本もKindle本も伸び続けるAmazon.co.jp

 紙の本とKindle本は、米国、欧州、ドイツ、日本ともにいずれも右肩上がりで伸び続けているという。先行してKindleストアを展開する米国、欧州では、Kindleストアの売上げが紙の本を大きく引き離している。右肩上がりの勢いは、日本でも同様だが、展開して1年のため、紙の本を追い越すには至っていない。ただし、紙の本との売上比率を見ると、欧州に続く勢いがあるという。

 米国の例を見てみると、紙の本は19年の販売実績があり、Kindle本は6年の販売実績がある。紙の本を追い越すまでに4年かかったが、欧州は2年程度だったという。この勢いには理由があり、先に米国でスタートしていたため、同じ英語圏の欧州はKindleストアを始めた時点でセレクションがだいぶ揃っていたことが大きいという。

紙の本と電子版をの同時発売、「紙への影響は見られず、電子版の売上げは大幅増加」

「Kindle化リクエスト」のボタン
「Kindle化リクエスト」のボタン

 2012年12月から2013年1月における年末年始商戦で、Kindleストアでのマンガの販売数は、紙のマンガの販売数の半数を超えたという。日本ではマンガの人気が高いことから、新端末「Kindle Paperwhite」の容量も日本だけ倍となる4Gバイトのストレージが搭載されている。

 一方で、コンテンツのラインアップについて、アマゾン ジャパン Kindleコンテンツ事業部 事業部長の友田雄介氏は、「(コンテンツを)増やせばいいというものではない。重点をおいているのはお客様の読みたい本をいかに多く揃えるか」と話す。

 その“読みたい本”をどのようにして測るか。その一つの指標は「Kindle化リクエスト」だという。Amazon.co.jpのウェブサイトでは、紙の書籍でKindle化されていないものを閲覧すると、表紙の画像の下に「このタイトルのKindle化をご希望の場合、こちらをクリックしてください」という一文がでてくる。

 「その数字を日々見ながら仕事をしている。希望者が多いところには、電子化してほしいという活動をしている」(友田氏)という。

 特長的な事例の一つが「失敗の本質」という書籍だ。これは1984年に発行されたロングセラー(ロングヒット)作品だが、ベストセラーには入らず、ランキングに入る性質のものではない。しかし、Kindle化のリクエストは継続的に増加し、50位以内に上昇。出版社にKindle化を持ちかけたが、電子ファイルが存在しなかったため、紙の本からデジタル化したのだという。販売を開始したところ、売上げは飛躍的に伸び、紙の書籍を上回る数のKindle本が売れているとした。

 また、紙と電子版に関して、「同時発売すると、紙の売上げが落ちるのではないか」「電子書籍の“予約”は無意味なのではないか」という質問があるという。それに対し、紙への影響は見られず、電子版の売上げは大幅増加する傾向にあるほか、予約を受けることで機会損失の防止が可能だと説明した。

日替わりセールで得られる利益

 また、Amazon.co.jpでは、Kindle本として24時間限定の「日替わりセール」を1日1~2作品、50%以上の割引率で提供しているほか、毎月50タイトル前後を、40%以上の割引きで「月替わりセール」を行っている。

 同社では、販売促進策のひとつとしてこれらのセールを行っているが、「値段を下げることが目的じゃないかと言われる」(友田氏)という。

 これは「ビジビリティ」(可視性)を上げるための施策だと説明する。9月に日替わりセール対象となった30作品における販売数の推移を見ると、全7日間の平均が1日1冊程度に対し、セール当日は501冊になり、500倍になるという。また、セール後の7日間も1日あたり平均8冊になるのもポイントで、「セールをして単に安くするわけではなく、ビジビリティを上げることでランキングも上がる。“これを買った人はこれも買いました”というおすすめ機能にエンジンが働く」とし、結果として安くしても利益が十分に上がるとした。

 なお、Kindleストアオープン1周年にあたり、特設ページを開設。五木寛之氏、大沢在昌氏、池井戸潤氏など、合計42名の著名な作家、コミック作家から、「電子書籍 新たな読書体験に寄せて」というテーマでコメントが寄せられている。

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