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仮想ネットワーク技術を駆使した新サービスで攻勢--NTT Com有馬社長

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 NTTコミュニケーションズは、10月24日と25日に同社のサービスやソリューション、最新技術動向などを広く紹介する「NTT Communications Forum 2013」を、東京・港区内で開催した。初日の基調講演には、同社社長の有馬彰氏が登壇し、「NTTコミュニケーションズのグローバルクラウドビジョン2013~これまでの取り組みと今後の展開~」と題して、クラウドや仮想化を用いた事業展開の最新状況を解説した。

NTT Com社長の有馬彰氏 NTT Com社長の有馬彰氏

 クラウドの導入状況について日米を比較すると、日本ではすでに導入している企業が21%で、導入を検討中もしくは興味があるとした企業は37%。これに対し、米国では導入済みが44%、検討中は45%となっており、日本は米国に後れを取っている。有馬社長はこの状況を示す統計資料(IDC Japan調べ)を示したうえで、「日本でもさらに、導入が進む。従来、クラウド化の対象となっていたのは、ノンコアのシステムだったが、今後は、会計、財務管理、サプライチェーンなど、コアのシステムへの浸透が進むだろう」と述べた。

 同社のクラウド推進の基盤となる戦略「グローバルクラウドビジョン2013」は、通信事業者であることの強みを活かし、ネットワークやデータセンター、音声などのアプリケーション、セキュリティまでを含めた、包括的なICTアウトソーシングをグローバルに提供することで、企業の経営改革に貢献することを目指している。

 この戦略でのクラウドへの取り組みでは、仮想化技術の活用が注目される。有馬社長は「仮想化技術を用いた価値を提供していきたい。仮想ネットワークは、まずデータセンター内で徐々に着手し、データセンター間、さらに、WAN、LANへと適用領域を広げていきたい」と話す。

 仮想ネットワークでは、2012年6月に世界初となるデータセンター内での仮想ネットワークの商用利用を開始した。データセンター内のネットワーク機器を仮想ネットワークで束ね、設定や変更の作業を自動化した。2013年6月からは、既存のオンプレミス環境からクラウド環境に移行する際、ネットワークセグメントやIPアドレスを変更しなくてすむ、「オンプレミス接続オプション」を提供している。また、データセンター間を仮想ネットワークでつなぎ、異なるデータセンターを、1つのデータセンターであるかのごとく利用できる「コロケーション接続オプション」を用意しており、データセンター間の回線費用が不要になるという。このサービスは2014年4月に提供を開始する予定だ。

  • データセンター内の仮想ネットワーク商用導入

  • 仮想ネットワークによるハイブリッドなコロケーション

 クラウドとネットワークサービスの接続にも仮想化技術を用いて、その自動化が2014年夏には実現する。接続作業は現行では手動で10数日を要するが、自動化されればカスタマーポータルを介し、きわめて容易になるという。

 VPNサービス「Arcstar Universal One」では、「仮想ネットワークオーバーレイ機能」を備えている。企業が、買収・合併などにより、拠点を追加したいような場合、仮想ネットワークを通じて既存の物理ネットワーク構成を変更することなく、企業と新たな拠点間を円滑に接続することができるという。こちらは、2014年3月に始動する見通しだ。

 仮想ネットワークによる、仮想アプライアンス機能も「Arcstar Universal One」の目玉の1つだ。現状では、WAN高速化装置、ファイアーウォールなどのネットワーク機器は、企業の拠点ごとに配置されているが、これを仮想化し、ネットワーク上に各種機器の機能を持たせて低価格で提供する。このような技術は「NFV(Network Functions Virtualization)」と呼ばれる。ネットワーク管理、制御を担うハードを、仮想化によりソフトに置き換えていく手法だ。

  • 仮想ネットワーク オーバーレイ機能

  • 仮想ネットワークによる、仮想アプライアンス機能

 このように、2014年には、仮想化技術の最新の成果を盛り込んだサービスが出揃う。仮想化ネットワークを点から線、線から面へと展開していく同社の戦略は着々と進行しているようだ。

 基調講演後の記者会見で、有馬社長は「仮想化技術は、より柔軟で、コストの低いサービスを提供できる。各社がクラウドで競合しているなか、当社はネットワーク仮想化で先んじており、非常に使いやすいクラウドを実現できる」と述べ、この領域での優位性に自信を示した。

 また「クラウドでのオールインワンのサービスは、SI事業者と、ある意味競合になるが、SI事業者もオンプレミスだけやっていれば良い状況ではない。彼らにはIaaSを使ってもらい、アプリケーションはSI事業者が取り組むといった棲み分けができるのではないか。クラウドは、従来の業務区分を新たなものにしていくかもしれない」と語った。

ガートナー ジャパン リサーチ部門 バイスプレジデント田崎堅志氏が特別講演 ガートナー ジャパン リサーチ部門 バイスプレジデント田崎堅志氏が特別講演

 この一方で、特別講演ではガートナー ジャパン リサーチ部門 バイスプレジデント田崎堅志 氏が「キャリアのクラウド・サービス:企業が見落としてはいけないプロバイダーの特性」と題し、キャリア系IaaSの特徴や課題などを通じ、企業がIaaSを選択する際の要点などについて解説した。こちらは別途、お伝えする予定だ。

 このほか展示では、データセンターや、各種アプリケーション、運用管理システムなどが紹介されていた。いずれも新たな効率化、経営改革のヒントとなるものだ。

  • 同社が国内外で拡充を続けているデータセンターに関する模型展示なども行われていた。これは、都内最大級をうたう東京第6データセンター

  • 香港やインドなどAPACやイギリスなどのデータセンターの模型

  • グローバルカフェと銘うったブースも設けられた。各国でのサービス状況などを担当員が詳細に説明して、企業の海外進出をサポートするということをアピールしていた

 このほか、目新しいところではアプリケーションのひとつ、「ソーシャルCRMソリューション」などといった展示もあった。これはソーシャルメディアを活用する企業、団体を支援するサービスで、ソーシャルメディアに寄せられる声を詳細に観察、傾向や志向を分析する。たとえば、“炎上”のきっかけとなりうる可能性のある書き込みや写真を見つけ出し、企業などに報告、事前に対処して炎上の防止につなげられるという。クラウドによる経営改革の支援を強く打ち出す同社だが、こうしたソーシャルや、モバイルに関する展示なども取りそろえ、来場者の注目を集めていた。

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