Evans氏によると、同氏のチームは、ユーザーがアプリを(少なくともバックグラウンドで)実行していなければアラートが機能しないように意図的に設計したという。これは事実上、ファンが同サービスにオプトインするのと同じことだ。ユーザーを驚かせることはしたくないのだという。
そうした懸念があるにもかかわらず、ほかの企業はユーザーの現在地を追跡するさまざまなテクノロジを試してきた。それらのテクノロジにはそれぞれ短所がある。GPSは屋内だと精度が下がるほか、デバイスのバッテリも大量に消費する。QRコードは、ユーザーが特定のアプリを起動してピントの合った写真を撮影しなければならない。これはほとんどの人にとって、自発的に行わなければならず、注意をそらされる作業だ。携帯電話と財布を結びつける最も優雅な解決策だと多くの人が認めたNFCでさえも、ユーザーが特定の場所をタップする必要があり、正常に機能しないこともある。
Evans氏は、Bluetooth LEをほかのテクノロジより気に入っているのは柔軟性に優れているからだと述べた。iBeaconのビーコンはアプリケーションに応じて送受信範囲をさまざまな距離に調節することができる。例えば、Metsストアのドアを通り抜けたファンだけにクーポンを送信し、ストアの前を通り過ぎたファンには何も送信しない、といったことが可能だ。
MLB.comはまだテストを行っている段階だが、現在の初期段階での導入事例を見ると、iBeaconによって将来的にどのようなサービスが提供される可能性があるのかが見えてくる。Evans氏は、2014年中にこの取り組みを実用化し、最終的にすべてのMLBスタジアムで展開したいと述べたが、具体的な日にちは明かさなかった。
今回のデモ期間中の導入事例の多くはシティフィールドで調整されている可能性があり、将来的には、それぞれのスタジアムが各球団の好みに応じて、さまざまな機能を提供するようになるだろう、と同氏は付け加えた。
MLB.comは最終的に「Android」でも同様のサービスを提供する予定だとEvans氏は述べ、「Android 4.3」もBluetooth LEのサポートを提供していることを指摘した。同氏によると、MLB.comがまずiOSに取り組むことにしたのは、基盤となる強固なSDKフレームワークと、強固な潜在的ユーザーベースをiBeaconが備えていたからだという(「iPhone 4s」以降を所有している人なら誰でもiBeaconを利用できる)。
関係者によれば、これまでにテストされたのは主に情報の配信だが、MLB.comはiBeaconとBluetooth LEが将来的にモバイル決済なども実現すると考えている可能性があるという。MLB.comはさまざまな機能を積極的に試している。
「携帯電話が球場でのあらゆる体験の入り口になるかもしれない」(Evans氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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