ヤフーは9月17日、次世代検索のコンセプトモデルとなる「さわれる検索」を発表した。音声入力によって検索したキーワードを、3Dプリンタを使って立体化した結果として提示することで、“見る”“聞く”といった従来のネット情報との関わり方を、“さわる”へと発展させていきたいとしている。
この仕組みを使うことで、たとえば映画のプロモーションで登場キャラクターのフィギュアを配布したり、新車の3Dデータを公開して好きな角度から眺められるようにしたりと、これまでにはない新たな広告表現が可能になるとしている。
同日の記者発表会で登壇したヤフー代表取締役社長の宮坂学氏は、「モーターショーなどでも各メーカーが非常に夢あふれるコンセプトモデルを発表する。ヤフーもたまには、今期、来期の新しい事業ではなく、『こういう未来があるといいなぁ』というコンセプトモデルを発表してみたいと思っていた」と語り、さわれる検索はあくまでもコンセプトモデルであり、当面事業化の予定はないと説明した。
ヤフーではプロジェクトの一環として、9月4~13日まで筑波大学附属視覚特別支援学校(盲学校)に「さわれる検索マシン」をテスト導入し、生徒向けの特別授業を開催した。マシンは、「なんでも呼び出せる、なんでも生み出す“クラウド”」をコンセプトにしており、雲の形のデザインを採用。音声検索後、プリントボタンを押すと15分ほどで立体物が形成される。
同校の副校長である星祐子氏は「学校に在籍する子どもたちは、全盲で点字を使用していたり、弱視で拡大文字を使用して学習したりしている。そのため、言葉は聞いたことがあっても実際に触ったことがない、見たことがないといったことがある。これらを検索マシンから立体物として取り出せるということは、事物や事象の理解を助けるものとして非常に画期的だと思っている」とプロジェクトの意義を語った。
ヤフーでは9月20日から同校への本格的なマシンの導入を開始し、10月18日までの約1カ月間、生徒が自由に体験できるようにする。その後は、有効利用できる機関を選定して、マシンを寄贈する予定だ。現在登録されている3Dデータは110種類となっており、出力できなかったキーワードはプロジェクトサイト上に掲載。さらに、Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)を活用したターゲティング広告を使って、企業や団体から3Dデータを募集するとしている。
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